18;科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂版) | 化学物質過敏症 runのブログ

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a. アルデヒド類・VOC 類 

ホルムアルデヒドは「アルデヒド」とよばれる化学物質構造群の中でもっとも単純な構造をしてい る無色の刺激臭のある気体です。

水によく溶ける性質を持っており、その水溶液であるホルマリンは 防腐剤として使用されます。ホルムアルデヒドは安価なため、新築・改築時の建材や家具に広く用い られていました。シックハウス症候群が問題となり始めたころは、症状を起こす原因として 最初に あげられた物質でした。

VOC 類は、沸点が 50~260°Cの揮発性有機化合物の総称です。

トルエンやキ シレン、ベンゼン、エチルベンゼンは、ホルムアルデヒド同様に塗料や接着材などに、パラジクロロ ベンゼンは防虫剤に含まれます。

現在はホルムアルデヒド、および同じアルデヒド類のアセトアルデ ヒド、VOC 類のトルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等に法的規制がかけられています(第 4 章、第 5 章参照)。 

表 3.3.1.に築 6 年以内の戸建て住宅における厚生労働省による室内濃度指針値の超過率を示しまし た(Takigawa ら 2010)。

指針値を超える濃度を示した化学物質はホルムアルデヒド、アセトアルデ ヒド、およびパラジクロロベンゼンのみでした。室内の化学物質濃度は札幌市では他の地域と比較し てパラジクロロベンゼン以外は化学物質の濃度が高くなっています(図 3.3.2.)。

これは、北海道 の寒冷地住宅の高気密性と換気不足が考えられます。北海道のみならず全国の高気密住宅で換気が不 足すると室内の化学物質濃度が高くなることが考えられますので注意が必要です。

また、札幌市の同 一の戸建て住宅で連続する 3 年間、室内化学物質濃度は、ホルムアルデヒド、アセトン、トルエンは 経年で濃度が減少する傾向が見られましたが、リモネンは濃度が増加していました(図 3.3.3.)。 

リモネンは材木から放散されるほか、柑橘系香料として室内芳香剤や洗浄剤などの日用生活用品に利 用されることから、居住者が発生源になる物品を外部から住宅内に持ち込むことが考えられます。化 学物質によるシックハウス症候群の予防対策には、化学物質の持ち込みに対する居住者の意識を高め ることも重要です。 

表 3.3.1. 

割愛