SGCNT系水性塗料で、電磁波を99.9%以上遮蔽2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・SGCNT系水性塗料を用い、左はバーコート法、右はスプレー法でそれぞれ形成した塗布膜 出典:産総研
 開発したSGCNT系水性塗料は、粘度測定の際に、流動性が高い状態を作る高速せん断から、流動性が低い状態を作る低速せん断に切り替えると、すぐに粘度が回復して高くなる特性を持つという。

このことは、塗料を高速で動かす塗布作業時には塗料の流動性が高まり、塗料の動きを止める塗布終了時には塗料の流動性が低くなる。

つまり、塗布面で塗料の液だれが生じにくく、複雑な形状の基材にも塗布膜を形成しやすい特長を持つ。


左はSGCNT系水性塗料、右はせん断速度による塗料粘度の変化 出典:産総研
 研究チームは、開発したSGCNT系水性塗料を用い、バーコート法とスプレー法により塗布膜を形成し、周波数帯域4.5~6GHzにおける電磁波遮蔽効果を測定した。この結果、いずれの塗布膜でも、測定領域で30dB(99.9%)を上回る電磁波遮蔽効果となった。

耐熱性も兼ね備える

 塗布膜は耐熱性に優れていることも分かった。

バーコート法で塗布した膜でも、180℃で24時間保持した加熱試験後に、加熱試験前と同等の電磁波遮蔽効果を維持していることが確認された。


開発したSGCNT系水性塗料を用いて形成した塗布膜の電磁波遮蔽効果 出典:産総研
 開発したSGCNT系水性塗料と市販の銀(Ag)系塗料、カーボンブラック(CB)系塗料について、バーコート法を用いて塗布膜を形成し、それぞれの特性を比較した。

その結果、SGCNT系水性塗料は、塗布できる基材の選択性が高く、塗布膜は実用上十分な電磁波遮蔽効果を持ち、屈曲性に優れ、変形にも強いことを確認した。



 これに対して市販のAg系塗料は、電磁波遮蔽効果に優れているものの、塗布できる基材が限られる。

しかも、温環境下では塗布膜を形成した基材とバインダー樹脂との熱膨張率の違いからゆがみが生じ、ひびや剥がれが発生した。

市販のCB系塗料は、塗布できる基材の選択性は高いものの、十分な電磁波遮蔽効果を示さなかったという。


開発したSGCNT系水性塗料と市販のAg系塗料、CB系塗料との特性比較 出典:産総研
 CNT複合材料研究拠点では今後、企業から提供される基材に、開発したSGCNT系水性塗料で電磁波遮蔽膜を形成し、サンプルとして戻すサービスを提供していく考えである。