・カナダ
カナダ人権委員会(カナダ政府の機関)は、2007 年に発表した報告書『環境過敏症の医学的全体像( The Medical Perspective on Environmental
Sensitivities)』の中で、「カナダ人の約 3%は環境過敏症と診断され、より多くの人々が環境の中の科学的または電磁的現象に由来するいくらかの過敏性がある。
人々は神経学的症状やその他のおびただしい症状を経験し、誘因因子を避けることは絶対に必要な段階である」としている。
「環境過敏症の人々のための配慮は、環境品質と労働者の作業効率を改善し、他の人が過敏症になるのを防ぐ機会だ」としている。
カナダのコルウッド市は、2009 年 8 月を「電磁波過敏症を知る月間」とすることを宣言した。宣言文は、「コルウッドや世界中の人々が、電磁波汚染へ被曝した結果として、電磁波過敏症を発症した」ことを明記している。
サウンダース市長による『市長のメッセージ』では、次のように書かれている。
「電磁波過敏症は、治療法がわかっていないため、電磁波へ敏感に反応する、辛く慢性的な疾患だ」「携帯電話や無線技術、FM、携帯電話送信所、小型蛍光等ランプなどの電磁波照射機器への被曝を取り除くことによってだけ、緩和することができるが、主なライフスタイルを変えことになる」「一般の人々の健康は、電磁波への慢性的で長期間の被曝による危険に曝されている。
この病気は、屋内と屋外の両方で、電磁波被曝レベルを減らすことで防げるだろう」。
・フランス
2009 年 4 月、フランス元老院(上院)では、電磁波被曝を規制する法案が提案された。
一般の人々の被曝レベルを現行の 1 万分の 1(0.1μW/?)へ引き下げること、14 歳以下の子どもへ携帯電話の広告をすることを禁じ、電磁波過敏症の疫学研究を含む報告書の作成と、電磁波過敏症の障害者認定を目指すことが記されている。
2008 年9月には、健康不安を危惧する住民の訴えを認め、携帯電話基地局の撤去と健康リスクに曝した損害賠償の支払いを命じる判決が出た。
携帯電話会社は控訴したが、09 年 2 月、ヴェルサイユ高等裁判所も一審を指示し、基地局の撤去と賠償金の支払いを命じ、この基地局は撤去された。
この後も、基地局撤去を命じる判決が 2 件、学校の側に計画されていた建設計画の中止を命じる判決が 1 件出されている。
なお、2009 年 7 月には、市民団体が電磁波過敏症発症者のための避難施設を開設している。
ここには、電磁波の侵入を防ぐために金属で遮蔽されたトレーラーハウスやキャンピングカーがあり、スイスやオランダ、ドイツなど周辺諸国から発症者が訪れ、療養している。
・欧州連合(EU)
欧州議会は 2008 年 9 月、「欧州環境衛生行動計画 2004―2010 年の中間報告」を賛成多数(賛成 522 票、反対 16 票)で採択した。
この採択についてのプレスリリースでは次のように説明されている。
「電磁場に関するバイオイニシアテイブ国際報告に非常に関心がもたれた。この報告書は、携帯電話や UMTS(訳注:欧州の第三世代携帯電話の規格)、無線LAN、WiMax(訳注:高速無線通信)、ブルートゥース(訳注:短距離無線通信)のような移動通信機器、デジタル式有線電話から発生する健康リスクを強調した。一般の人々のために設けられた電磁場被曝に関する制限値が時代遅れであることを強調した。それらの制限値は、情報・通信技術の開発や、妊婦や新生児、子どもなどの傷つきやすいグループ考慮に入れていない」
「結論として、未然防止と予防原則の利点を認めること、潜在的な環境と健康の脅威を予測し対抗することを可能にするツールを開発し実行することを、中間報告は欧州委員会と加盟国に促す」
(www.europarl.europa.eu/news/expert/infopress_page/064-36137-245-09-36-911-20080903IPR36136-01-09-2008-2008-false/default_en.htm09-36-911-20080903IPR36136-01-09-2008-2008-false/default_en.htm)。
また、2009 年 4 月には、欧州議会で「電磁場に関わる健康影響に関する報告書」が、圧倒的賛成多数(賛成 559 人、反対 22 人)で採択された。
この報告書では、スウェーデンを手本として電磁波過敏症の人を認知すること、適切な防護を認めることも明記されている。
このように電磁波過敏症は社会問題になっており、各国政府が対策に乗り出している。
日本でも発症率や症状を調査し、被害の拡大を防ぐために早急に対処する必要がある。
runより:かなり長いので数日に分けて掲載しますね(´・ω・`)