化学物質の皮膚感作性評価におけるアプローチ | 化学物質過敏症 runのブログ

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https://www.jstage.jst.go.jp/article/toxpt/39.1/0/39.1_MS2-4/_article/-char/ja/
化学物質の皮膚感作性評価におけるアプローチ
*森本 隆史1) 2)

1) 住友化学株式会社 生物環境科学研究所 生体科学グループ 2) 広島大学大学院 生物圏科学研究科

皮膚感作性とは、免疫反応の中でも抗原曝露から数日後に発症する「IV型(遅延型過敏症)」の一つで、化学物質を複数回暴露することで、その化学物質を抗原として免疫反応がおこり、皮膚に紅班、浮腫といった症状を呈するものである。

皮膚感作性を引き起こす化学物質は、皮膚を透過した後、皮膚中でタンパク質やペプチドと反応することでハプテン(抗原)を形成する。

そのハプテンは抗原提示細胞に取り込まれ、リンパ節へと運ばれる。

リンパ節では、ハプテン特異的なT細胞の増殖が起こり、この増殖したT細胞が再び侵入してきた化学物質に対して反応することで、皮膚に症状を引き起こす。
 化学物質を安全に取り扱うためには、その皮膚感作性ポテンシャルを使用前に適切に評価することが必要であり、長年、モルモットを用いた動物試験で評価が行われてきた。

近年、動物数削減や試験期間の短縮などのメリットを持ち、なおかつ、モルモットの試験と同程度の評価が可能な試験であるマウスを用いた試験が、感作性評価の主流になりつつある。

また、最近では、動物愛護の観点から、動物を用いない試験法(動物実験代替法;代替法)の開発が強く求められるようになり、数多くの動物実験代替法が開発・検討されている。

当社では、皮膚感作性発症メカニズムにおける初期のstepであるハプテン形成に着目し、グルタチオンを用いたタンパク結合試験を開発検討してきた。
 これまで、当社では、皮膚感作性を評価するにあたって、世間動向および試験目的に合わせ、新規評価法の導入、改良および開発を進めてきた。

今回、マウスを用いた動物試験での新規媒体の検討および皮膚感作性代替法の一つであるタンパク結合試験について進捗を紹介する。

また、当社での皮膚感作性の評価系について紹介する。