微小粒子PM2.5の胎仔期曝露が出生仔の雄性生殖機能に与える影響 | 化学物質過敏症 runのブログ

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微小粒子PM2.5の胎仔期曝露が出生仔の雄性生殖機能に与える影響とその影響発現メカニズムの解析
*吉田 成一1), 嵐谷 奎一2), 市瀬 孝道1)

1) 大分県立看護科学大学 2) 産業医科大学

公開日 20160808 
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抄録

【背景】近年、大気中の微小粒子 (PM2.5)による呼吸器系や循環器系などへの影響が懸念されている。

これまでの本研究室の研究で黄砂やナノ粒子、PM2.5などの粒子状物質がマウスの精巣組織を障害することや造精機能を低下させることなど、雄性生殖機能に悪影響を与えることを明らかにした。

また、黄砂やナノ粒子を妊娠マウスに投与すると、出生した雄性マウスの生殖機能が低下することも明らかにした。

しかし、PM2.5による次世代雄性生殖機能への影響は殆どわかっていない。そこで、本研究では実際の大気中から採取したPM2.5を妊娠マウスに気管内投与し、出生仔の雄性生殖機能にどのような影響が生じるのかを検討した。

【方法】ICR系妊娠マウスをPM2.5投与群20匹と対照群20匹に分け、PM2.5投与群にPM2.5 (200μg/匹)を妊娠7日目及び14日目に気管内投与した。

出生仔が12日齢の時点で産仔調整を行った。

5週齢、10週齢、15週齢における出生雄性マウスの体重、精巣及び精巣上体重量、光学顕微鏡による精巣組織像、1日精子生産能 (DSP)、血清テストステロン (血清T)濃度、精巣における遺伝子発現などを指標に、胎仔期PM2.5曝露による雄性出生マウスの生殖機能に及ぼす影響を解析した。

【結果および考察】胎仔期にPM2.5の曝露を受けた出生マウスの体重、精巣及び精巣上体重量は各週齢で有意な変動は認められなかった。

胎仔期PM2.5の曝露による出生仔の雄性生殖機能への影響を解析した結果、PM2.5群で、精上皮の変性や精上皮細胞の脱落等が観察された。

また、胎仔期のPM2.5曝露により、PM2.5投与群では対照群と比較してDSPが全ての週齢で有意に低下した。

さらに、血清T値は5週齢のPM2.5投与群で約3倍増加した。

以上より胎仔期のPM2.5曝露が出生仔の雄性生殖機能に影響を及ぼすことを明らかにした。

現在、DNAマイクロアレイを用い、精巣における遺伝子発現を評価し影響発現メカニズムを解析中である。


runより:そのPM2.5を避けられない日本はどうしよう( ̄_ ̄ i)