食品開発企業における毒性研究者の活躍の場とその拡がり | 化学物質過敏症 runのブログ

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食品開発企業における毒性研究者の活躍の場とその拡がり
*宅見 あすか1)

1) 味の素株式会社 イノベーション研究所 基盤技術研究所 安全性研究グループ

公開日 20160808 
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抄録

当社は21世紀の人類社会の課題である「健康な生活」、「食資源」、「地球持続性」の課題解決に向けて、事業を通じて明日のよりよい生活に貢献することを行動規範とし、食品事業においては、おいしく食べることで健康な社会を作る、限りある資源を代替する、独自性の高い高付加価値素材の開発を推進している。

代表的な製品形態として、機能性食品、甘味料、風味調味料等が挙げられるが、これらの開発において最も優先されることは安全性の確認であり、自社に探索/開発安全性の機能を有して必要な安全性試験を実施し、チーム一丸となって製品を上市に導く点は他の業界と共通である。

安全性研究グループは毒性研究者の第一の活躍の場として、グループ員がそれぞれの専門性を発揮しながら、素材探索、コンセプト確認、開発戦略策定、上市に係る資料整備まで、段階に応じた安全性上の課題の抽出及び評価を担う、食品開発企業においても必要不可欠な存在となっている。
食品の開発/製造/販売の場面では、安全性評価の専門家以外の関係者に対して、実験データに基づく「安全」を、「安心」に展開することの重要性が増している。

科学的なデータに基づく安全性の証明に加え、データの信頼性確保、全世界を対象としたリスク情報の入手及び意思決定スキームの理解、また、受け手側の立場に応じた対話の機会を持つこと(リスクコミュニケーション)を実践し、最終的に製品を使用いただく生活者の皆様に「安心」を届ける取り組みが求められる。

これらの要所において、毒性研究者は科学的かつ実践的な判断力を備えた人材として研究所外にも活躍の場を拡げ、世界中の様々な領域にて業務に当たっている。
本発表では、いくつかの事例を交えながら、食品開発企業にて期待される毒性研究者の役割と、その拡がりをご紹介したい。