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香料、栄養成分、加工助剤などの物質の特性を考慮した評価を行う食品添加物
*梅村 隆志1)
1) 国立医薬品食品衛生研究所病理部
公開日 20160808
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抄録
食品添加物の安全性評価は、「添加物に関する食品健康影響評価指針(2010年5月食品安全委員会)」に基づき実施している。しかし、添加物としての香料は多くが食品の常在成分であり、単純な化学構造で非常に微量なものを多種類配合して使用されている。
また、ビタミン・ミネラル等の栄養成分では、食事摂取基準とヒトでのNOAELとの適切なマージンに関する問題や耐容上限量が設定されている栄養素の場合の無毒性量との関係などの問題がある。
殺菌剤、酵素、抽出溶媒等の加工助剤は本来、それ自体では食品の原材料として消費されることのない物質又は材料であるが、非意図的にその残渣又は派生物が最終製品中に存在することは回避できない場合がある。
さらに、微生物から得られる酵素の場合、起源微生物の安全性やアレルゲン性への懸念がある一方、消化管内で分解して食品常在成分になる場合の安全性評価の考え方など考慮しなければならない問題が多い。
これまで、上記のような問題点や特殊性に関しては上述の「添加物に関する食品健康影響評価指針」の中で一定の考慮の必要性が述べられているが具体的な指針は示されていなかった。
そこで現在、これら特別な考慮が必要な添加物については別途、個別に指針を提示する取り組みが食品安全委員会で行われている。
本シンポジウムは医薬品に係わる添加物がテーマであるが、今回取り上げる食品添加物の特性が一部重複していることから、これらの安全性評価指針の概略を紹介する。