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病気事典[家庭の医学]シックハウス症候群
しっくはうすしょうこうぐん
シックハウス症候群
シックハウス症候群について解説します。
執筆者: 産業医科大学学長 和田攻
シックハウス症候群の解説(コラム)
室内の微量な汚染化学物質に敏感に反応して、集中力の低下、不眠、視力障害、だるさ、頭痛、関節痛、咽頭通、筋肉痛、微熱、腹痛など極めて多くの症状を示す人がいることが多く報告されるようになり、これを総称してシックハウス症候群と呼んでいます。
約30年ほど前から、米国でも問題になっている化学物質過敏症も、そのひとつと考えられます。
ビル居住者にも同様の症状がみられ、シックビル症候群と呼ばれていますが、シックハウス症候群と同じ原因のほか、湿気やカビなどのほかの原因も加わっているともされています。
最近では、小学校などでもみられ、シックスクール症候群と呼ばれています。
原因物質には建築材料や家具などから発散されるホルムアルデヒドやトルエン、キシレンなどの有機溶剤、衣類やじゅうたんなどに含まれる浄化剤や可塑剤(かそざい)、殺虫剤、害虫防止剤、重金属などがあげられています。これらの物質の通常の中毒量より、はるかに微量で症状が出ることが実験室(クリーンルーム)の研究で証明されています。
免疫アレルギー反応、精神神経反応、心因的反応などの機序(仕組み)が考えられていますが、特定されていません。
予防は、室内では原因物質を一定量以下にすることです。
厚生労働省と文部科学省では、ホルムアルデヒド100μg/m3(0・08ppm)、トルエン260μg/m3(0・07ppm)、パラジクロロベンゼン240μg/m3(0・04ppm)、クロロビリホス1μg/m3(0・07ppb)(小児では0・1μg/m3)などの室内環境指針値を定めています。
国土交通省も2003年7月、改正建築基準法で同様の規制値を定めました。
症状が極めて軽い場合、クリーンルーム内でしばらく生活すればよくなります。
いずれにしても、建築材料製造時にこれらの化学物質をゼロにし、家庭では換気扇をつけ、また換気を十分にする必要があります。