リウマチ・アレルギー対策委員会報告書3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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(2)リウマチ対策における問題点
我が国においてはこのようなリウマチ対策が実施されてきたが、これらの対策は必ずしも戦略的に推進されてはおらず、患者への医療提供等について患者のニーズに適切に対応できていない面があり、問題を残しているといえる。
(1)医療面の問題
(ア)重症リウマチに対する対策
○ 重症リウマチの状況
リウマチの長期経過を考えた場合、通常、比較的症状や機能障害の軽い場合(軽症リウマチ)と高度な炎症が持続し関節破壊が急速に進行する重症の場合(重症リウマチ)があり、重症リウマチはウマチ患者の30-40%を占めているといわれている。
平成14年の患者調査によれば、関節リウマチの患者のうち入院治療を受けている患者の割合は約20%である。(図1)

また、平成11年に実施されたリウマチ友の会の調査では、入院患者のうち長期間(3ヶ月以上)入院した者の割合は22.0%であり患者のQOL低下の大きな要因となっている。
○ リウマチ診療における問題
医療技術等の進歩により、リウマチの治療においては、メトトレキサート(MTX)等の抗リウマチ薬の積極的な使用及び生物学的製剤の登場並びに人工関節を中心とする外科的治療の進歩が図られており、寝たきりリウマチ患者の減少に寄与している。
しかしながら、日本のリウマチ診療は総体として欧米水準と較差はないものの、ここ数年抗リウマチ薬の開発や承認の遅れによる診療内容への影響が指摘されているところである。
(MTXの問題)
他の国では最も有効で安価な薬剤の一つであるMTXがリウマチに使用されているが、我が国においては、
・添付文書上投与量が8mg/Weekの制限つきでの使用
・添付文書上過去の治療において他の抗リウマチ剤等により十分な効果の得られない場合に限られている。
等の制限がある。そのため、MTXを中心とする治療が徹底できなかったために重症化したリウマチ患者がいるとの委員の意見がある。
(生物学的製剤の問題)
このような医療の状況の中で、抗リウマチ薬に抵抗性のあるリウマチに対する生物学的製剤の使用が可能となったが、MTXの増量に制限がある現在の状況では、抗リウマチ薬による十分な治療評価が行われないまま、比較的早期に生物学的製剤が投与される可能性があるとの意見がある。
また、欧米においてリウマチ患者の初期治療の重要性が指摘されているところであり、日本もこれに対応できるよう、今後、医薬品の薬事法上の承認内容の変更の検討や、それに伴う早期リウマチに対する適切な診断・治療法の確立が課題となっている。

(イ)治療法の有効性評価と新薬導入
現在使われている薬剤や治療法の効果の評価(市販後医薬品の効能評価)については、医薬品の内容に応じた全例調査を義務づけており、特に生物学的製剤の使用による結核等の感染症の問題や間質性肺炎等その他の有害事象を検出する体制を整えているところであるが、このシステムで得られる知見をより効果的に臨床研究や新薬開発に繋げることができないかとの意見がある。
また、海外からの新薬導入(開発及び承認)が遅いことから、欧米諸国に比べて十分な治療ができていないとの意見がある。
(ウ)患者の実態把握
リウマチ患者の実態については、必ずしも十分に把握されておらず、有効な治療法の確立に必要な調査や情報収集が不十分である。
(エ)適切なリウマチ診療の可能な医療機関
リウマチ診療の可能な医療機関の立地については地域により様々であるが、より身近な医療機関でリウマチ診療が行われることが望まれる。
(オ)リウマチの診療に従事する医師の更なる資質の向上
厚生労働省では、厚生労働省研究班と学会等との連携により作成した診療ガイドラインの普及を図っているが、必ずしも全ての医療機関において診療ガイドラインを活用した標準的な医療の提供がなされてはいない。
また、リウマチは全身の各臓器にわたる病変を対象とする疾患であるため、専門の医師の育成にあたっては、内科医、整形外科医等が縦割りで診療・教育を行うことなく、幅広い知識を習得する必要がある。
(2)研究面の問題
リウマチの疫学、発症予防法の確立、早期診断法や新規治療法の開発等については、国を中心に積極的な取り組みが進められているが、その病態等は未だ十分に解明されているとはいえない。
研究実施状況としては、明確な目標設定とその達成度を適正に評価する体制が不十分であるとの指摘がある。


runより:図、表ですが別のファイルに資料として書かれているので今回は掲載しない事にします。