身近な環境ホルモン 陽イオン界面活性剤 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
http://kokumin-kaigi.org/

・身近な環境ホルモン 陽イオン界面活性剤
ジャーナリスト 植田武智
衣類や髪の毛に残留する陽イオン界面活性剤
 96号の記事で理事の水野玲子さんが取り上げた陽イオン界面活性剤について、安全性や代替品の状況を調べてみました。

前号記事と若干重複する部分はご容赦ください。
 なぜ陽イオン界面活性剤が入った柔軟剤を使うと衣類が柔らかくなるのでしょうか。界面活性剤は物質の表面(境界面)に作用してその性質を変化させる働きをします。

構造としては、一つの分子の中に、水になじみやすい親水基と油になじみやすい新油基の部分があります。

柔軟剤などに使われるのは、親水基の部分がプラスの電気を帯びている陽イオン界面活性剤です。

衣類の繊維は濡れるとマイナスの電気を帯びるため、繊維の表面には陽イオン界面活性剤の親水基の部分が吸着し、生地が陽イオン界面活性剤でコーティングされた状態になります。


 繊維に親水基がくっついているので、生地の外側には親油基が並びます。つまり衣類の表面は油の膜ができた状態となり、すべりがよく、柔らかくふんわりとなるのです。

静電気の発生も予防できます。

髪に使うリンス剤も同様です。
 私たちの皮膚は陽イオン界面活性剤でコーティングされた衣類や髪の毛に接触しています。

もしこの陽イオン界面活性剤に毒性があったら、私たちの皮膚は日常的に有害物質にさらされていることになります。
生殖毒性の疑いがある塩化ベンザルコニウム 陽イオン界面活性剤は、大きく3種類に分けられます。

その一つが第4級アンモニウム塩で、第4級アンモニウム塩はさらに3種類に分けられますが、一番毒性が強いと考えられるのが塩化ベンザルコニウムです。
 東京都の調査ではファブリーズにも使用されていることが分かっています*1。厚労省と環境省による有害性評価*2でも、生殖毒性の疑いありと分類されています。

毒性が出た量とファブリーズ使用によるばく露量を比較したところ、布団へのスプレー回数の目安(15回)で噴霧される量の0.8%以上を吸い込むと安全と言えない量となります*3。

妊娠中の母親、赤ちゃんの消臭・除菌製品の使用は要注意だと言えるでしょう。


代替物質の安全性は?
 除菌スプレーや柔軟剤などに、この塩化ベンザルコニウムが使用されているかを各メーカーに問い合わせましたが、「商品やホームページに掲載している成分以外は社外秘」として回答を拒否されました。
柔軟剤の成分表示で多く見かけるのが「エステル型ジアルキルアンモニウム塩」という成分です。

日本石鹸洗剤工業会によれば、この成分は従来の第4級アンモニウム塩の代替品として、環境での分解性をよくした「エステル4級塩」の一種になるとのこと。

日本石鹸洗剤工業会が安全性について報告書を公開*4していますが、生殖毒性のテストや発がん性試験が実施されておらず、他の成分のテスト結果をもとに安全と推定しているだけです。
 代替物が必ずしも安全とは言いきれないケースの一つです。

柔軟剤やリンス剤など消費者が日常的に使用してばく露する機会が多い化学物質については、少なくとも生殖毒性や発がん性の動物実験を必須にするなどの規制が必要です。
*1 「 4級アンモニウム化合物(QUAT)のマウス免疫系に及ぼす影響」東京健康安全研究センター年報 第61号(2010年)
*2  http://www.safe.nite.go.jp/ghs/11-mhlw-0053.html
*3  日本のファブリーズの含有量が非公表のため、アメリカのファブリーズの0.13%という情報をもとに、安全係数1000を使用。
*4 「 エステル4級
塩のヒト健康影響と環境影響に関するリスク評価結果について」2014年3月、日本石鹸洗剤工業会。報告書の中ではトリエタノールアミン4級塩と表示。