・http://mainichi.jp/premier/health/articles/20160929/med/00m/010/012000c
香りつき柔軟剤の強い刺激に要注意
2016年10月3日
洗濯ものをふんわりと仕上げるだけでなく、身につけている間も香りが続く、香りつき衣類用柔軟仕上げ剤(柔軟剤)が人気です。
香りが癒やしとなっている人がいる一方、香りの刺激によるさまざまなトラブルも目立ってきています。
ドラッグストアやスーパーでは、アロマやハーブ、花の香りなど何種類もの香りつき衣類用柔軟仕上げ剤(柔軟剤)が並んでいます。
衣類やタオルなどをやわらかく仕上げる商品として、以前は部屋干しのにおいなどを抑える微香タイプが主流でしたが、近年は香りの強い海外からの輸入品がブームとなり、芳香性に注力した商品が広がっています。
国民生活センターによると、「柔軟剤を使用して室内干しをしたらにおいがきつく、せきが出るようになった」「柔軟仕上げ剤を使用したタオルで顔を拭くとせきが止まらない」「隣の家の洗濯もののにおいが強く、頭痛や吐き気がする。
窓も開けられない」といった深刻な事例も報告されています。
特に隣人とのトラブルは、窓を開ける暖かい時期になると増える傾向にあるようです。
その背景として、柔軟剤の香り成分に含まれている化学物質や化合物による影響が考えられます。
これらが皮膚や鼻など粘膜から吸収されると、のどの痛みなどアレルギーに似た症状がみられることがあるのです。
そのため、化学物質に弱い人は十分に注意しましょう。
好きな香りに包まれると癒やし効果があるのも事実ですが、心地よい気分になるのか、逆に悪い気分になるのか、香りの感じ方や身体的な反応には個人差があります。
アレルギーのような症状が出るほどなら、使用を中止するべきです。
中には柔軟剤を定められた量の倍以上使っているケースもみられ、国民生活センターでは消費者に対して、過度な使用を控えるように訴えています。
柔軟剤そのものも使い過ぎで、皮膚のトラブルを起こすこともあります。
柔軟剤メーカーも適正量を超えて使用しないよう、また香りの強さがわかるよう商品のパッケージに表示するなど、啓発活動を進めています。
衣類用柔軟仕上げ剤以外では、入浴剤やシャンプー、コンディショナーなどでも「香り」がブームになっています。
色とりどりの入浴剤・洗浄剤にも化学物質が含まれており、身体への影響がまったくないとはいえません。
これらは柔軟剤とは異なり、直接、皮膚や髪の地肌からの吸収が考えられます。
使用後にかゆみや違和感、不快感、かぶれなどを生じた場合は、すぐに使用を中止してください。
他人は平気でも自分に合わないものもあります。
皮膚への刺激が繰り返されて、徐々にアレルギーを発症する場合も。
日ごろから洗浄剤や石けん、シャンプーなどの使用に際しては、使い過ぎ、洗い過ぎに気をつけましょう。
監修:関東中央病院皮膚科部長 日野治子
「ケータイ家庭の医学」2016年4月掲載より (C)保健同人社