・2-4. 化学物質過敏症の治療と対策
早期診断、早期治療が医療における原則です。
化学物質過敏症の治療においても、出来るだけ速く、正確な診断を確定し、適切な治療を行うことが理想です。
しかし、シックハウス症候群を含め、化学物質過敏症の治療には、特別な治療法というものはありません。
化学物質過敏症の治療は、原因物質を突き止め、それを除去すること、そして、原因物質との接触を避けるための工夫と対策を立てることが基本です。勿論、耐えられないような個々の症状に対しては、対症療法として薬物療法等を選択する必要はありますが。多くの場合、化学物質過敏症は、化学物質で汚染された自宅や公共的建造物の室内空気に接触・吸引することによって発症することから、室内空気の汚染対策と浄化が肝心です。
屋内空気中の化学物質による汚染防止対策のため、近年、関係省庁では法律による規制等を強化しています。
国土交通省では建材から放出される化学物質の室内濃度を下げるため、昨年(平成15年)、建築基準法を改正し、建築材料に等級による表示基準を設定したり、機械換気設備の設置を義務づけています。
しかし、必ずしも基準値を守った建物が安全とは限りません。
特にアレルギ-体質の人、新築家屋屋内や家具店などで刺激を感じる人は、化学物質過敏症対策を取ったほうがよいでしよう。
化学物質との接触が避けられなければ、濃度を下げる工夫をすることが大切です。
特に新築建造物では換気による濃度低下が有効です。
新築家屋に入居する時には、すぐに入居せずに2~3ヵ月の間換気を徹底し、化学物質を気化させ、化学物質が十分発散して濃度が低くなってから入居することで一定の予防が可能です。
リフォームの際にも注意が必要です。
リフォームをおこなった場合、約1ヶ月位の期間をあけてから入居する余裕が必要です。
また、空気清浄機で化学物質を吸着する方法や、化学物質を吸着するような植物を置くことも選択肢の一つとして推奨されています。
全ての病気に共通のことですが、日常生活を規則正しくし、睡眠時間を十分取り、体力をつけ疲れを残さないことです。
また、バランスのとれた内容の食事を摂ること、特に、欠乏しがちなビタミン・ミネラルを積極的に摂り、食物繊維を含む野菜や果物も十分に摂りましょう。脂肪は、化学物質が融解・沈着しやすく、摂り過ぎは、生活習慣病の誘因となります。
過剰な摂取は避けましょう。
食品添加物や残留農薬にも配慮すぺきです。
そして私達の日常生活の面では、便利で安価な化学物質に頼りきった生活を見直さなければならないと考えます。
環境ホルモンと共通することですが、建物以外のことでは、まず禁煙、ディーゼルエンジン車を止めること、残留農薬や添加物がたくさん含まれる食品を避けることです。
これだけでも化学物質過敏症は半分以下になると推測されます。
対策の基本
対策
1 室内の汚染物質の発生原因をつくらず、除却しましょう。
汚染原因になる建材や化学薬剤系の生活用品の利用を少なくし、できるだけ自然素材のものを利用する。
汚染発生源(建材、家具、など)が分かるものは取り除く。
対策
2 室内から汚染物質を排出しましょう。
現代の住宅の建て方は非常に気密になっているので自然には換気されにくい。
換気・通風をこまめに行い汚染物質を排出する。
対策
3 医師の診断・指導による治療をしましょう。
身体に異常を感じたら、その場から速やかに離れる。また、日常生活においてバランスのとれた食事および適度な運動と睡眠をとるように心がけ、身体の免疫力を高める。
*ベイクアウト
ベイクアウトとは、室温をある一定期間、一時的に上昇させることで化学物質の発生を増大させ、平常時の発生量を緩和する方法です。
ベイクアウトの方法として次のような項目が挙げられています。
1)建具のソリを避けるためには温度は上げすぎない、
2)扇風機で温度を一様にする、
3)すすが出ない電気ストーブを使う、
4)加湿器を併用する、
5)一回半日以上、一定日数繰り返す。
建設省の官民共同研究事業「健康的な居住環境形成技術の開発」の対策・実験ワーキンググループ(主査・野崎淳夫東北文化学園大学助教授)が行ったベイクアウトの実験によれば「ベイクアウトは有害物質の減少に有効」と報告されています。
実験では締め切った部屋で電気ストーブを使い、7時間にわたり35度を保った後、1時間換気というサイクルを9回繰り返し又、ホルムアルデヒドの発散を促す加湿を併用した例も行われました。
野崎主査は「ベイクアウトは欧米では習慣として行われているが日本ではほとんどやらない。理想は有害物質を出さない建材や接着剤を使うことだが、なかなか難しい。身近な対策として有効だ。」と話しています。
runより:今更な事ですが化学物質過敏症についてのおさらいです。
あくまでも基本的な事で今はもう少し研究が進んでいますが中枢神経が絡む話と脳信号の話くらいしかなくて対処にはあまり変化がないですね。