9.環境建築物
MCSの患者は、安全な環境で治療を受けさせることが必要だ。
通常の病院だと、消 毒などのために、ありとあらゆる化学物質が噴霧されている。
(1)バードエムス タール
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1989年、私は、ドイツ中部の小さな温泉村であるバードエムスタール(Bad Emstal)に、ドイツで初めての環境施設を建設した。
壁土として使用した石灰モルタルや多孔質の鉱物塗料は、有毒物質をろ過、結合、中和することがで きる。
断熱性だけでなく、湿気が少なく、短期間で乾くことも、こうした建設素材を選ぶ際には重要な要素となってくる。
私たちは建設資材会社や建設会社に運 ばれてくる建材が放射能や有害気化物質や芳香成分を含まないもの(低揮発製品)であることの証明書を提示するよう依頼した。
木材部品の手入れについては、 テルペンを含まない天然ラッカ―や敏感な患者のために特別に開発されたワックスを使用した。
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これは、患者が使う台所。添加物のない食品を使う。
部屋の構造も特殊なものになっている。
煉瓦を使った天井だ。現在造るとお金がかか る、伝統的なやり方の建築である。
できるだけ地球の磁場を妨害しないように、鋼鉄をできるだけ避けている。
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回路スイッチ(ブレーカー)を入れるスイッチングボックス。
金属を挟むことで電磁 場を減衰させられる。
すべての電気回路には回路スイッチを装備し、回路スイッチを切ることで、個別の電化製品の電磁場だけでなく、部屋中の電気配線からの 電磁場も遮断できるようにした。
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電気配線には電磁場を減衰させるために金属メッシュで被覆したケーブルを用いた。
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部屋の中の金属管は外部からの電磁波の影響を受けやすい。
その影響を減らすために 放射状(星形)に配管している。
(2)ヴォルフハー ゲン
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現在、私たちは、ヴォルフハーゲン市と協力して新たな環境企画であるエコホテル ヴォルフハーゲン城を構想中である。
ヴォルフハーゲンは歴史ある街で、グリム兄弟の一人ルードヴィッヒ・エミール・グリムは、かつてヴォルフハーゲンに住 んでいた。
エーデル渓谷や歴史的建造物が豊かなかつてのヘッセン選帝侯領土の首都、カッセルの西に程近く、中部ドイツ高原地方でもっとも美しい場所の一つ である。
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このお城をホテルに改装しようとしているのだ。
10.最後に
MCS患者は、社会の中である種の指標になっていると思う。ただ、子どもたちのこ とも忘れないでほしい。
グローバル化した世界の中で環境汚染が深刻化し、子どもの症例も出てきている。
子どもの場合、免疫系及び神経系システムが非常にナ イーブなので、子どもたちには注意を払わなければならない。
つまり、皆さんの将来のために投資をしていくことが大事だと思う。
先進国も、コソボのような発 展途上国についても、考慮が必要だ。
機能性医学と環境医学こそ、21世紀の医学である。
(質疑応答より)
参加者 グルタチオンの投与について、経口と静脈注射とで効果はどの程度違うか。
ルノー 経口では腸管の中でかなり破壊され、20~30%が腸管から吸収されて血 管に入る。しかも、解毒が必要な人の場合はしばしば腸壁が損傷しており、その場合、吸収率はさらに下がる。静脈注射だと、注入された全量が血管に入る。
参加者 ストレス対処プログラムと個別指導について、もう少し教えてほしい。
ルノー ストレス対処プログラムは、赤外線サウナやマッサージなどの理学療法や、 森の中へ行って自然に戻ること。あまり哲学的な話はしたくないが、環境因子に体がどう反応するか、自分の体を自分で聞く、体の反応を聞くということだ。ミ ラー先生が後ほど説明してくださるが、マスキング効果というものがあって、その影響を解かなければならない。
個別指導は、皆さんそれぞれが生化学的な個体なので、たとえば、あなたが必要なビ タミンCは300gなのか400gなのか、検査結果など に基づいて患者さんと議論し、アドバイスをすることなどだ。
参加者 ルノー先生が治療をしている子どもたちの中で、いわゆる自閉症だが化学物 質が関与していると思われる人がどのくらいいて、どのくらいの治療効果が得られているのか。
ルノー ちょっと難しいご質問だ。確かにADHDや自閉症の子もいるし、自閉症の 子どもの90%は腸に問題があると言って良いと思う。特に金属などが解毒できないというケースが多い。フェーズ2の解毒まで行くのに十分なグルタチオンが ないことなどにより、体内にある様々な金属をうまく代謝できない。自閉症の子どもでも1~3年で正常になることもある。自閉症は確かに遺伝子的な要素もあ るが、遺伝子というのは非常にダイナミックで、サプリメントやミネラル食品、良い空気でもってサポートしてあげれば、遺伝子の良い形質が発現する場合もあ ると思う。
参加者 自閉症について化学物質や金属の問題が大きいと考えて治療に当たっている 医師がドイツには多いのか。
ルノー いいえ。これに関しては世界共通だ。世界の主流医学は、そういうことは認 めない。
参加者 ドイツは特にバウビオロギー(建築生態学)が進んでいると思うが、バウビ オロギーの考え方にあるように、患者にとっても健常者にとっても、その土地の周辺で調達できる建築資材を使って家を建てることは重要なのか。
ルノー まったくその通りだと思う。その地域でとれる材料を使うことは非常に良 い。世界中どこでも天然の良い資材はあると思う。単に患者さんだけではなく次世代の子どもたちのためにも、どうやって家を建ててどんな材質を使うのかはよ く考えるべき。確かに現代のテクノロジーにも素晴らしいものはあり、私もよく使うが、やはり人工的な建材には懸念もある。私の推奨する企業は、製造工程の 終わりの段階で除染をする。除染室が設けられ、そこで家具などを化学物質を使わずに洗浄する。CSの方は本に触れられないことがあるので、本も木炭などで 浄化している。このような企業だったらおすすめできる。このような洗浄の段階を製造工場に設けることはお金がかかるが、考える価値はある。
参加者 MCS患者はドイツでも多いか。
ルノー ドイツにも非常にたくさんいる。先日大きなテレビ局でMCSに関する番組 が放映され、私も招待された。番組を通して、より多くの人たちがMCSを認識するようになった。
参加者 化学物質曝露で腸内などの臓器が損傷された場合、解毒により再生できるの か。
ルノー 臓器はもちろん再生する。少し時間はかかるかもしれないが、必ずうまくい くので、絶望する必要はない。
【パネルディスカッションから】
コーディネーター ルノー先生の診療所等に、公的支援はあるか?
ルノー いいえ、すべて私的な支援でまかなってきた。ただ、時代は変わりつつある。私が治療施設をヴォルフハーゲンへ移転した時に、市長がサポートをしてくれて「1ユーロ」をいただいた。
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