講演3「天然キレー ト剤(グルタチオン)、ミネラル、ビタミンによる解毒」
ドイツ・環境病研究 所医師 クラウス デートリッヒ ルノー氏
本日は、私がMCS(多種化学物質過敏症)患者を治療し始めてから学んだ様々なこ と、特に実践的な考え方についてお話しさせていただきたい。
1.MCSとは何か
今日は、いろいろな毒性化学物質について話がされているが、いったいいくつの化学 物質が登録されているのだろう。
化学物質とは必ずしも限らないが、新しい物質が先月以降、5000万も登録された。
日々、3万もの新しい物質が登録されて いる。
MCS患者について原因化学物質を特定するのは非常にお金がかかるし(特定の目的がある場合以外は)それをやることに意味はない。
MCS患者は、一般に広く使用される多種類の化学物質に、極微量でも反応する。
一般に使用されている化学物質とは、たとえば、化粧品、洗濯洗剤、建物内の化学物 質、車内の(霧状になる)化学物質、プラスチックからの揮発ガス、溶剤、香水(これも非常に大きな問題だ。
ドイツでは「化学物質過敏症ネットワーク」(www.csn-deutschland.de )という患者団体か ら、香水に関する論文が出されている。
たばこだけではなく、香水が非常に大きな問題になっている。香水もやはり有害物質だ)、吸入抗原、食物(添加物、着 色料、保存料)がある。
多くの人々は、これらの化学物質に寛容性(耐性)を持っている。
それと同時に、多 くの人々が、寛容性を失っている。
2.主流医学の見解
主流医学のMCS患者に対する見解として「彼らは化学物質や汚染をこわがっている のだ」というものがある。
「その通り、MCSという病気自体は存在する。しかしあなたは罹患してはいない。あなたの症状は気のせいです」と医師は言う。
3.機能性医学モデ ル
ウィリアム・オスラー卿(Sir William Osler)は「大事なことは、 患者が持っている病気を知ることではなく、病気を持っている患者について知ることだ」と言っている。
つまり、患者の健康、人生を理解しようとすることであ り、この病気を発症する前にどういう生活をしていたか、どういう健康状態だったかを知るべきというのだ。
機能性医学モデルとは、病気に焦点を当てる医療から、患者に焦点を当てる医療へ移 行しようとすることを意味する。
「氷山の一角」という言葉がある。
たとえば「頭痛」という症状が出たとき、頭の中 に腫瘍があるかもしれないし、ホルモンの問題かもしれない。
医師は鎮痛剤やホルモン剤を処方したり、あるいはホメオパシー治療を導入することもある。
しか し、それらは氷山の一角を見て治療しているだけだ。
これに対して、機能性医学は氷山の全体、栄養や環境の要素にも対処しようというものだ。
私が患者に対して行っている診断のための検査のプログラムは、以下の通りだ。
①血球数測定:ルーティーンでやるだけではなく、ホモシステイン、高感度CRP、イン ターロイキン6(炎症のマーカー)、ビタミンD3も測定する。
②有害物質(毛髪、血液、尿)
③有機酸:オーガニクス総合分析。新しい検査法であり、後で詳述する。
④ポルフィリン・テスト:重金属毒の深刻度を測定。
⑤フタル酸塩:内分泌かく乱物質で、これらも尿から検出されることがある。信じられな いかもしれないが、ドイツで測定された小児の実に100%から尿中から内分泌かく乱物質が検出されたと8月に発表された。
⑥アレルギー:特に食物アレルギーの検査も行う。MCSの人たちは化学物質に過度に曝 露されていることによって典型的なアレルギー症状も発症する。日々の食べ物に対しても、そうだ。
⑦検便:遺伝子解析。
⑧MRT:核磁気共鳴画像。