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携帯電話の基地局設置後、周辺で奇形植物が続々と出現 電磁波と複合汚染の懸念
17:22 09/12 2013
黒薮哲哉
携帯電話の基地局の近くで現れたナスビの奇形。
数本のナスビが野球グローブのように連なっている。
(長野県木曽町で黒薮が撮影)
携帯電話の基地局周辺で奇形植物が出現している――そんな住民からの情報をもとに、長野県の木曽町と伊那市の現地に赴き取材すると、ナスビやヒマワリ、クローバ、キュウリ、タンポポなどに奇形が現れていることが分かった。
地元紙『信濃毎日新聞』には読者からの奇形植物の写真が多数投稿され、「公害」の認識がないまま「珍現象」として紹介されていることも分かった。
生態系破壊の原因を基地局の電磁波だけに限定することは出来ないが、木曽町の学童保育所に勤める鈴木真美さんは「基地局が設置された後、あまりにも集中して奇形植物が現れた事実は重い」と証言する。
木曽町と伊那市では、基地局設置と連動して奇形が出現しており、因果関係がある可能性は高い。
WHO傘下の国際癌研究機関が2011年に携帯電磁波(高周波電磁波)の発癌可能性を認定しており、「基地局リスク」は否定できなくなっている。
自然界が発する人類への「警鐘」を報告する。
長野県木曽町に住む鈴木真美さんが、わたしに示した奇形のナスビ(上記写真)は、「紫色の野球グローブ」を連想させた。
通常、ナスビは幹から分かれた茎の先に実をつける。
楕円形(だえんけい)の果実が、ひとつだけ垂れ下がる。
しかし、目の前の奇形ナスビは、茎から5つか6つの果実が扇状に広がっている。
しかも、グローブのように、親指にあたる部分の果実だけが離れていて、その他の部分は境なく一体化している。正常なナスビの形とはほど遠い。
「これは今年になって携帯基地局の近くにある友人の畑から見つかったものです」
鈴木さんが案内してくれた畑は、御嶽山のふもと、濃い緑の山々の間に広がる集落の、ほぼ中心に位置する。
ここから目視できる携帯基地局は3基。
このうち最も近距離にあるのは、山腹を背にしたソフトバンクの基地局で、畑から350メートルぐらいの距離である。
だが、携帯基地局から発せられる電磁波が奇形ナスビを生み出した、とこれだけで結論付けることは、もちろんできない。
地球を取り巻くオゾン層の減少によって生じている紫外線の悪影響など、多種多様なかたちで生態系を脅かす要因を考察するのが、常識になっているからだ。
米国のケミカル・アブストラクト・サービス(CAS)が1日に登録する新しい化学物質の数が、約1万5000件に達する時代である。
環境は常に変化している。
念を押すまでもなく、福島第1原発がまき散らし続けている放射能の影響も否定できない。
奇形植物が出現している原因は、「複合汚染」という視点から考えなければ片手落ちになる。
とはいえ木曽町に現れた奇形植物は、携帯基地局からの電磁波が直接の引き金になった可能性が極めて高い、というのが、今回取材した結果としての感触である。
木曽町で奇形直物の問題を発掘したのは、鈴木さんが代表を務める「タンポポ・プロジェクト」という住民団体だ。
結成の発端は、2007年3月に鈴木さんが勤める学童保育所から70メートル離れた所にある町有地に、NTTドコモが基地局を設置したことである。
近くには、民家は言うまでもなく保育所、小学校、それに中学校など子供が集団生活を営む施設もあった。
◇児童に鼻血や頭痛の症状
電磁波が人体に与える影響を知っていた鈴木さんは、PTAの役員らの協力を得て、町役場と交渉した。
町長も最初は、電磁波の健康被害には懐疑的だった。
自治会長、役場担当も逃げ腰で、取り合わないという。
しかし熱心に交渉した結果、「教育施設から400メートル離れた移転地が見つかり次第に撤去する」という約束を取り付けた。
基地局が設置された場所が町の所有だったうえに、木曽町には「まちづくり条例」があったので、町長は住民自治の精神を尊重し、鈴木さんたちの声に耳を傾けざるを得なかったのだ。
住民が粘り強く行動力した結果だった。
だが代替地の選定に入る前に、悲劇が襲った。
基地局からの電磁波が原因と思われる健康被害がさっそく現れはじめたのである。
たとえば鈴木さんが勤める学童保育所では、児童が突然に鼻血を出したり、頭痛を訴えるケースが見られるようになった。
これらの症状は、基地局周辺で観察される典型的な症状の代表格である。
そこで鈴木さんたちは、健康被害の実態を把握するため、同年の11月にアンケート調査に乗り出した。
すると以下の通り、過半数に影響が出ていることがわかったのである.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。