・11.有害性情報
急性毒性
:
【経口】ラット ALD:9,000mg/kg 【吸入】ラット LC50/4hr 32,000ppm
【経皮】ウサギ ALD >2,000mg/kg
皮膚腐食性・刺激性
:
OECDガイドラインに沿ったウサギの皮膚刺激性試験では、HCFC-123を0.5ml密封塗布し
4時間暴露したが、紅斑、浮腫は生じなかった。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
:
ウサギの眼に本物質の原液0.1ml、あるいは50%プロピレングリコール溶液0.2ml に
暴露より、結膜刺激、角膜混濁をはじめとする軽度から中程度の可逆性傷害が
眼に生じた。
呼吸器感作性
:
データなし
皮膚感作性
:
1%フタル酸ジメチル溶液0.1mlを1週間に1回、3週間モルモットに皮内投与し
2週間後にプロピレングリコールに溶解したHCFC-123を7mgまたは35mg投与したが、皮膚感作は起きなかった。
生殖細胞変異原性
:
ヒトリンパ球を使ったin vitro試験で、核分裂率が低下する高い濃度で染色体
異常誘発性を示したが、その他のin vitroおよびin vivo遺伝毒性試験では
すべて陰性であった。
発がん性
:日本産業衛生学会(2008年度)、ACGIH(2005年度)、NTP(2001年度)
IARC(2000年度)いずれにも発がん性物質としてリストされていない。
生殖毒性
:ラット及びウサギに妊娠期間中ばく露による児の生存・発生に及ぼす影響は認められない。
ラットの2世代(F0の交配前から妊娠期間と授乳期間、F1の交配前から妊娠期間と授乳期間)にわたるばく露では、性機能・生殖能への影響は認められない。
ラット及びサルで、主に分娩前後ばく露により乳汁あるいは新生児血中に代謝物が検出されているが、授乳による影響は認められなかった。
特定標的臓器・全身毒性(単回暴露)
:単回暴露時の最も注意すべき影響は、中枢神経系抑制およびアドレナリン依存性の心不整脈などである。モルモットに数分~1,000ppmを吸入させた場合には肝障害をきたし5,000ppmでは中枢神経系抑制を起こした。
イヌでは、20,000ppmで、アドレナリンによる心臓性不整脈が起こる。ラットおよびハムスターでは、30,000ppmを超えて4時間吸入させた場合に顕著な中枢神経系抑制や死に至る場合もある。
特定標的臓器・全身毒性(反復暴露)
:反復暴露時最も重要な影響は、肝臓の損傷であるが、この影響は、職場で大気中、5ppm(31.3mg/m³)以上の濃度に、1~4ヶ月暴露された場合に報告されている。
HCFC - 123 2015年4月1日 6/9
【国内におけるHCFC-123吸入による肝障害例】通達別添1「電機機械器具製造業の研究所で発生した肝障害(概要)」によると、平成9年10月、神奈川労働基準局管内の大手電機機械器具メーカーの研究所において、光通信システムの部品開発に従事する労働者に肝障害が発生した。
神奈川局及び労働省が労働省産業医学総合研究所と共に原因究明にあたった結果、HCFC-123が原因と見られるところとなった。
日本冷凍空調学会発行の『冷凍』(平成10年8月号)77頁記載の補足説明によれば、換気装置のない密閉性の高い作業場において、開放容器等から揮発したHCFC-123に暴露された状態でヒートパイプの研究開発作業を約2ヶ月間行った結果として、作業者に健康障害が発生した。
この際の作業者の雰囲気の昀高濃度は、1,000~5,000ppm、平均でも200~500ppmと推定されている。
吸引性呼吸器有害性
・データなし
12.環境影響情報
水生環境急性有害性
甲殻類(オオミジンコ)の48時間 EC50 = 17mg/L 他から、区分3とした。
水生生物に有害(区分3)
水生環境慢性有害性
急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いものの(BCF = 36)、急速分解性がない
(BOD による分解度:6%)ことから、区分3とした。
長期的影響により水生生物に有害(区分3)
生物蓄積性
:
log POW 2.3-2.9 [CICAD S23(2000)]
低濃縮性
土壌中の移動
:
データなし
オゾン層破壊係数
:
0.02 (CFC-11 を1とする)
地球温暖化係数(CO2を1.0とする100 年積分値)
:
77 (IPCC 第4次レポート 2007)
:
79 (IPCC 第5次レポート 2013)
大気汚染防止法
:
揮発性有機化合物(VOC)
その他
オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正により、生産、消費等の
規制対象となっている。
13.廃棄上の注意
・
蒸留して極力回収する。埋め立て、または投棄は行ってはならない。「産業廃棄物の処理及び清掃に
関する法律」に従って、公認の産業廃棄物処理認定業者も委託して処理する。
・
オゾン層破壊物質・地球温暖化物質にあたるため大気中に廃棄せず下記法律に準じて処理する。
・フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律
・特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律
HCFC - 123 2015年4月1日 7/9
14.輸送上の注意
・
国連分類
:
非該当
・
国連番号
:
非該当
・
国内規制
:
特に輸送上の危険物に該当しない。
・
容器の破損、漏れがないことを確かめ、衝撃、転倒、落下、破損がないように積み込み、荷崩れの防止を
確実に行い、輸送中は直射日光を避ける。
・
タンクローリー等への充填、積降し時は平地に停止させ、ブレーキを施し、車止めをして作業を行う。
・
タンクローリー等で運送する時には、バルブ、フランジ、安全弁から漏洩がないことをあらかじめ確認する。
15.適用法令
・
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) : 第一種指定化学物質(HCFC-123)第164号
[改正PRTR制度施行:平成21年10月1日;平成22年度届出から使用]
・
労働安全衛生法:第57条の2第1項 通知対象物 政令番号247(HCFC-123)
・
水質汚濁防止法 : 施行令2条 フッ素及びフッ素化合物
・
下水道法 : 施行令9条の4 フッ素及びフッ素化合物
・
特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律 バーゼル条約:別表3 38・1ハ ハロゲン化された有機溶剤
・
大気汚染防止法: 揮発性有機化合物(VOC)
・
フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律
・
特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)
・
化学兵器禁止法 : 特定有機化学物 施行令4条1項1号 関税定率法別表 フッ素化誘導体
・
海洋汚染防止法 : オゾン層破壊物質
・
オゾン層保護法 : 附属書 C グループⅠ 特定物質
・
外国為替及び外国貿易法 : 輸出貿易管理令 別表第2の35(輸出の承認)
・
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
16.その他の情報
記載内容の問い合わせ先:日本フルオロカ-ボン協会
電話番号 : 03-5684-3372
FAX番号 : 03-5684-3373
HCFC - 123 2015年4月1日 8/9
引用文献
1.PAFT Program Brochure(Sep.1995):AFEAS
2."Partially Halogenated Chlorofluorocarbons (Ethane Derivatives)",WHO(1992)
3.G.B.Marit et al, Toxicologic Pathology 1994,22(4):pp404-414
4.製品安全データシート HCFC-123(2001/10/1:改訂):日本フルオロカーボン協会
5.MSDS "SUVA"123(2190FR)(Revised.2004/4/7):Du Pont
6.「代替フロンによる健康障害予防のための当面の対策の推進について」労働省通達(基安発第15の2号、1998/6/1)
7.労働省通達 別添1 「電機機械器具製造業の研究所で発生した肝障害(概要)」 8. (独)製品評価技術
基盤機構(NITE):「GHS分類結果データベース」
※なお、6.7.については、(公社)日本冷凍空調学会発行「冷凍」(1998/8月号)のP77-79に掲載あり。
記載内容のうち、含有量、物理化学的性質等の数値は保証値ではありません。
危険・有害性の評価は、現時点で入手できる資料・情報・デ-タ等に基づいて作成しておりますが、すべての資料を網羅したわけではありませんので取扱いには充分注意して下さい。
*このSDSは日本フルオロカーボン協会環境・技術委員会において作成したデータシートの参考例文で、内容を引用して生じた結果について責任を負うものではありません。
製品の使用に際しては、必ず使用す
る製品の供給者から提供されるSDSの記載事項を参照引用してください。
runより:面倒なので一気に終わらせましたがHCFC-123はエアコンに使われる事が多いです。
他にも代替冷媒はありますが今回はHCFC-123だけです。
基本的に曝露しにくいですが雨などに含まれている可能性があります。