内分泌系・免疫系に直接作用して過敏体質に
本来なら体内でバランスよく免疫系の働きを調節する女性ホルモン。
しかし、環境ホルモンが体内に入ると、女性ホルモンがもつ免疫系の調節という働きに影響を与えてしまいます。そして免疫系のバランスが乱れます。
これにより、アレルギー症状が起こりやすくなったり、自己免疫疾患にかかりやすくなります。
最近では、免疫系に直接作用する環境ホルモンも発見されています。
環境ホルモンは、内分泌系と免疫系に作用して、ちょっとした刺激にも過敏に反応するアレルギー体質を引き起こす原因となるのです。
最近のアトピー性皮膚炎が増加している背景の一つに、この環境ホルモンの影響を指摘する研究者は多いようです。
実際、アトピー性皮膚炎が先進諸国に多く、発展途上国に多いのは、清潔な環境(Th1の関係)の問題もあると思いますが、環境ホルモンとなる化学物質の影響も無視できないように思います。
自律神経のバランスも崩れ、さらにアトピーが悪化
人間の体は、内分泌系、免疫系、自律神経系が機能的に関係しあうことで守られています。
環境ホルモンによって、内分泌系、免疫系に影響が出るということは、互いに密接にリンクしている自律神経系にも同様の影響を与えていると考えられます。自律神経は体のあらゆる部分の機能を司っており、自律神経のバランスが崩れることもアトピー悪化の原因のひとつになります。
環境ホルモンって何に入っているもの?
環境ホルモンは、身のまわりにたくさんありますが、どんなものなのかわからないため具体的に何を避ければいいのかがわかりにくいものです。
身のまわりに存在する代表的な環境ホルモンを知って、摂取を減らす参考にしてください。
環境ホルモンから身を守る2つの方法:その1
誰もが環境ホルモンから逃れることはできません。
それほど世の中には環境ホルモンが満ちあふれています。
しかし、それでも極力摂取しないように、また摂取しても体の外に出せるように生活することは大切です。
環境ホルモンは、多くの人が接していますが、同じ量でも人によって現れる反応のしかたがまったく異なっています。
反応や影響が人それぞれに違うということは、体のもともとの処理能力の差だけでなく、生活のしかたの違いが、環境ホルモンの体への影響の差を生んでいるということです。
少しでも体内に摂取する量を少なくすることが長い目でみると大切です。
ビニル容器に熱は加えない
市販の弁当などはプラスチック容器に入っています。
これをレンジで加熱すると、環境ホルモンが弁当の油分に溶け出します。
そのほか加工食品のビニル容器も注意が必要。
温めて食べるときは、耐熱ガラスや陶器などの容器に入れ替えて加熱しましょう。
いろいろなものを食べる
いろいろなものを食べることは、環境ホルモン対策としても優れています。
同じものを食べ続けることは、その食品に環境ホルモンが入っていた場合、体内に蓄積される環境ホルモンの濃度が高くなる危険があるということです。偏らないことはリスク回避の原則です。
外食の回数を減らす
外食のすべてが悪いというわけではありません。
外食のデメリットは、どのような材料をどのように調理したかがわからない点です。
昼食を外食にした日は、夜は自分で料理するなどして、素材のわからないものを食べる回数を減らしましょう。
換気を心がける
現代の都会の家は密閉されています。
外気をシャットアウトしたつもりでも、シックハウスの原因となるさまざまな化学物質、生花に付着した残留農薬など家の中にも環境ホルモンはあります。滞った同じ空気を吸い続けることは、リスク回避の原則にも合いません。
換気して滞った空気を入れ替えることは基本です。
化学物質はなるべく使わない
合成化学物質を避けて生活することは不可能ですが、環境ホルモンの実態がわかっていない以上、その摂取を減らすには、日用品の中でむやみに化学薬品類を乱用しない方がよいと言えるでしょう。
こうして見ると、普通の生活を行う上で、環境ホルモンを摂取ないことは、かなり意識しなければできないことが分かります。
だからこそ、アトピー性皮膚炎や花粉症のような、アレルギー性疾患が増加しているのかもしれません。できるところから工夫していくことが大切でしょう。