化学物質の経皮吸収と毒性一溶剤を中心として一3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・皮膚の性状による因子としては動物穂部位, 年齢,皮膚障害などがある.動物種では一般に,ウサギ,ラット, モルモット,ブタ, ヒトの順に経皮吸収性が小さくなるが, 溶質によっては必ずしもこのような順序にはならない. Marzulli らはマウスが最も皮膚透過性の大きい動物であるとしているのに対して,ヘアレスマウスではヒトと同じ皮膚透過性を示すとの報告もある.

動物種による差は電解質物質で顕著にみられる.
年齢ではラットの皮膚透過性が胎生末期から生後数日の間に急速に減少し,それ以後はほとんど変化しない.

部位による吸収の相違は角質層の厚さや毛包密度などに起因するが,パラチオンの場合,陰のう,腋窩,前額,顎, 頭部, 肘の内側,腹部,手背,前腕の順に経皮吸収性が小さくなり,ハイドロコーチゾンの場合,陰のう,顎, 前額, 頭部, 腋窩, 背, 前腕, 手のひら, 足底の順に小さくなったという.


皮膚障害では最外層の角質層が障害を受けると経皮吸収量は数百倍も激増する.

この影響は電解質物質の吸収において顕著である.

また,種々の有機溶媒によって角質層が障害を受けると溶質の皮膚透過性が増大する。
 外部環境には温度,湿度, 基材などの因子がある.温度の上昇は経皮吸収速度を大きくする.

湿度の上昇も角質層の水和を高め経皮吸収量の増大をもたらす・すなわち,Occulusion により,4 ~ 5 倍もの吸収量の増大がみられ特に,ステロイドでは100倍にも増大するという.

基材の影響は非常に重要で皮膚科学,薬学の分野で多くの研究がされている.

基材に対する溶質の親和性, 溶質の (角質層/基材) に対する分配係数, 電解質では基材のpH , 基材の皮膚障害性などが経皮吸収に及ぼす主な要因とされている.

 経皮吸収量の測定法  

多くの方法がZatz7) によってまとめられているが, in wivo 法とin vitro  maに分けられる.

 無機化合物では経皮吸収により中毒を生じる化合物として重金属類がある.

Wahlberg らは種々の重金属化合物の水溶液をモルモットに塗布し,経皮毒性を調べたところ,水銀, クロム,コバルト,カドミウムなどの重金属化合物では経皮吸収により死亡したという.