(2)心身に係る苦情の場合の評価
測定結果をもとに評価指針に照らして、評価を行うことになる。発生源の稼働状況と苦情内容に対応関係がある場合で、
・G特性音圧レベルが、評価指針で示される92dB以上の場合は、超低周波
音*の周波数領域で問題がある可能性が高い。
*超低周波音:1~20Hz までの低周波音
・1/3 オクターブバンドで測定された音圧レベルと参照値(評価指針 表2)を
比較し、測定値がいずれかの周波数で参照値以上であれば、その周波数が低周波音苦情の原因である可能性が高い。
上記2項目の評価方法によって、どちらかでも参照値以上であれば、低周波音(超低周波音を含む)の問題があると考えられる。
測定値が参照値以上の場合は低周波音の問題がある可能性が強いが、発生源の稼働状況と苦情との対応関係がない場合又は対応関係が不明の場合は、当初苦情対象と推定したものと異なる発生源が原因である可能性もあるので、暗騒音の影響を含め慎重な検討が必要である。
G特性音圧レベルが92dB未満であり、1/3 オクターブバンドで測定された音
圧レベルがいずれの周波数においても参照値未満である場合は、100Hz 以上の騒音や、地盤振動など他の要素についても調査する。
ただし、参照値以下であってもまれに心身に係る苦情が発生する場合があるため、参照値との差を参考に問題となる周波数を推定し、原因となる発生源があるか検討する。
○心身に係る苦情の場合の判定例
(ア)卓越周波数が参照値を超えている
右図の場合、31.5Hz、50Hzが参照値を超えており、この周波数が原因であると考えられる。
(右上図:極端な卓越周波数がある場合)
(イ)卓越周波数はないが参照値を超えている場合
心身に係る苦情は、ある特定の周波数が際立って聞こえることによる場合が多いが、右図の場合は50Hz以上の範囲の周波数が原因か、又は100Hz以上の騒音による可能性が考えられる。
(右中図:可聴低周波音領域で超えている場合)
(ウ)卓越周波数があるが参照値を大きく下回る場合
右図では12.5Hzにおいて卓越周波数が測定されているが、参照値を大きく(10dB以上程度)下回っている。このような場合は、①申し立てのある対象音がきちんと測定されているか再検討するとともに、②100Hz以上の騒音領域、
③地盤振動等、④その他(耳鳴りなど)について多角的に調査する必要がある。
(右下図:卓越周波数があるが参照値を大きく下回る場合)
(エ)卓越周波数はなく暗騒音と変わらない
対象とする低周波音が暗騒音に隠れてしまい検出できない場合は、測定計画の見直しを行うとともに、(ウ)で挙げた①~④について再度検討する。
【注意】この参照値は、定常音による許容限度についての被験者実験の結果や、被験者の個人差を考慮して規定されたものである。
しかし、この参照値未満であっても低周波音を知覚し苦情となる可能性はゼロではない。
runより:事実上低周波は避けられないので発生源を何とかするしかないのですが心身の問題でも苦情は可能なので正直この手しまないと思います。