-5:低周波音問題対応のための「手引」 | 化学物質過敏症 runのブログ

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5.2 心身に係る苦情の場合
(1)発生源の稼動状況と苦情内容の対応関係の把握
測定結果から、発生源の稼動状況と苦情内容との対応関係を検討することが重要である。

低周波音の発生源と思われる施設等を停止した場合に音圧レベルが下がり苦情がなくなるかどうかの確認を行う。

施設等を停止しても苦情がなくならないのであれば、施設等に対策をして音圧レベルを下げても問題は解決しないので、対策は意味を持たない。
施設等を5 分から10 分程度の間隔で稼働・停止し、苦情者が施設等の稼働・停止を識別できたか、苦情の状況が変化したかを、苦情者が家の中で一番低周波音を感じる場所であると申し出る部屋において確認する。

なお、低周波音の音圧レベルが小さい場合には、低周波音が聞き取り難い(感じにくい)こと・不快感は多少残ること・車の通過などの暗騒音によって識別が邪魔されることがあることから、稼働・停止の識別の時間として数秒程度のずれはあり得る。
施設等の稼働・停止が出来ない場合は、苦情者の申し立てる時間帯と施設等の稼働時間帯との対応関係を調査する。

具体的には昼夜の時間、季節による変化、平日と休日などの対応を見る。
苦情内容と対応する発生源の確定については、苦情者宅の室内と発生源と推定される施設等の近傍における低周波音を測定し、卓越周波数の対応関係などから評価する。
○被害感の有無と施設の稼働・停止の対応関係
苦情内容と発生源の稼働条件の関係から、原因となる発生源を推定する。

図a 施設の稼働・停止と苦情者の反応に対応関係がある場合




施設稼働 苦情者反応あり
上図(a)では、対応関係があった条件をもとに原因となる発生源を推定する(例では施設Aと
対応)。図(b)のように対応が不明瞭である場合は、調査方法の見直しを含め再検討を行う。

施設稼働苦情者反応あり
図b 施設の稼働・停止と苦情者の反応に対応関係がない場合




【注意】発生源の稼動状況と苦情内容との対応関係を調べる場合には、低周波音と同時に測定対
象施設から発生している騒音・振動等の影響にも注意する必要がある。

○問題となる周波数の特定
発生源と苦情者宅において測定を行い、苦情者宅屋外で問題となる周波数が発生源近傍と一致しているか確認する。周波数が一致しない場合は、他の発生源がないか調査する。
(図a:周波数が一致する場合) (図b:周波数が一致しない場合)




上図(a)のように20Hzの測定値が、発生源から距離減衰をしながら苦情者宅まで到達している場合は対応関係があるとする。

(b)のように伝搬とともに周波数が移行することはないので、対応関係がないと考えられる場合は調査対象の見直しを含め再検討を行う。
発生源側と苦情者宅屋外で問題となる周波数の音圧レベルがほとんど変らない場合には、暗騒音の影響や対象と思われている発生源以外の可能性も考えられる。

また、問題となる周波数の音圧レベルが発生源側よりも苦情者宅屋内で大きい場合は、苦情者宅で使用している設備機器等の影響も含めて再検討を行う。

【注意】上記の方法で発生源の特定が出来ない場合、発生源の稼働状況と苦情内容が一致しない場合又は対応関係が不明な場合は下記の方法で再度検討する。

また、必要に応じて専門家による調査の協力を検討する。

○再検討のためのチェックリスト
・申し立てのある時間帯・場所における測定か:
・測定している部屋は予想される発生源からの低周波音が強く影響している部屋か:通常は、発生源に近い部屋の音圧レベルが大きいが、反射などの影響で異なる部屋の音圧レベルが大きいこともある。
・窓、ドア等開口部の開閉の有無等による影響はないか:
・苦情者の利用している設備機器等(例えば、冷蔵庫、エアコン室外機、ボイラーなど)から発生していないか:
これらの機器を稼働・停止してその変化を見る。この他、屋根部に設置されているテレビ用アンテナの設置の不具合では、風によりアンテナが振動を起こし、その低周波数域の固体音が原因となった場合もある。
・その他:苦情者自身の問題:耳鳴りなどがあるか