4. 測定
4.1 測定計画の立案
低周波音の測定に際しては、発生源と申し立て内容の対応関係を把握し、問題解決をするための的確な測定計画の立案が重要となってくる。
具体的には、申し立て内容に対応した測定項目、測定場所、測定時間帯の選定や、測定体制などについて検討する必要がある。
○測定計画のためのチェックリスト
・測定項目:
低周波音の1/3オクターブ周波数分析、G特性音圧レベル
騒音レベル、振動レベル
風向、風速
・測定日:
1日、数日間
連続測定、一定時間間隔
・測定時間帯:
朝、昼間、夕方、夜間、深夜・早朝
・測定場所:
発生源近傍、敷地境界、苦情者宅屋外、屋内(窓の開閉)
苦情が発生した場所、音を感じる場所・感じない場所(対比の意味で)
・測定体制:
測定者人数、配置、測定系列及び測定機器など
・測定実施計画書の作成:
測定目的、測定方法、評価の基準、結果の整理と提示方法など
・苦情者への説明方法:
・発生源者への指導方法:具体的対策の提示方法
・発生源者への協力依頼:
測定上の協力(場所、電源など)
施設の種類、能力、台数及び稼働状況の情報提供の依頼
・苦情者への協力依頼:
測定上の協力(場所、電源など)、音圧レベルと申し立て内容との対応関係の確認
・その他:類似事例の収集
【注意】発生源(施設等)が推定・確認されており、その施設の稼動・停止を行える場合は、苦情者に運転状況を知らせずに施設を稼動・停止させ、運転状況と苦情者の反応との対応関係を確認する。
その際、発生源側にも苦情者の関係者を立ち会わせ、施設等の稼働状況を調査員とともに確認することが望ましい。
また、発生源を停止することが不可能な場合や発生源が推定・確認されない場合は、苦情者が被害感を申し立てる時間帯・場所を聞き取り、必要に応じて、連続測定を行うことも検討する。
苦情者からの申し出がある場合は、必要に応じて、発生源側には知らせずに苦情者側のみの測定を行うことも検討する。この場合は測定後に、発生源側の施設等の稼働状況を把握するよう努める。
○推定される発生源(施設等)の稼動・停止を行える場合
・推定される発生源側と苦情者宅における測定:
同時測定が望ましいが、計測機器が不足している場合には移動測定でもよい。
発生源が複数台あると思われる場合は、1つずつ稼働、組み合わせての稼働など複数条件で測定を行う。
・測定時間:
稼動・停止の切り替えは、測定の条件などによって異なるが、5分から10分程度の間隔を目安とする。
・稼動・停止の条件による建具等のがたつき現象の変化を観察:
苦情者の感じ方、苦情状況の変化を聞き取る。
(先入観を与えぬよう稼働条件を苦情者に示さず実施することが望ましい)
【注意】測定器が複数台ある場合、発生源側と苦情者側で同時測定を行うことは、対応関係をはっきりさせるためには有効な方法である。
○発生源(施設等)の稼動・停止を行えない場合又は発生源が不明の場合
・苦情者が被害感を申し立てる時間帯、場所などの詳細な聞き取り
・対象となる時間帯及び場所での測定:
複数回測定を行う。また、異なる時間帯・場所においても測定し、その比較を行う。苦情者の申し立てと音圧レベルの変動の対応関係を調査し、原因と思われる低周波音の周波数などを絞り込む。対象となる時間帯及びその前後の時間帯において、レベルレコーダ等へ低周波音を記録し、音圧レベル変動などの特徴から発生源を推定する。(可能であれば、データレコーダへ録音しておくことが望ましい)
・該当する周波数を発生させるような発生源の存在を再度調査:
4.2 測定の実施
「低周波音の測定方法に関するマニュアル」(平成12 年10 月、環境庁環境
管理局大気生活環境室:http://www.env.go.jp/air/teishuha/manual/index.html
に掲載)を参考にして測定を実施する。測定にあたっては、必要に応じて騒音、振動、施設の稼動状況、苦情者の反応などを調査する。
測定実施のためのチェックリストを以下に示す。
○測定実施のためのチェックリスト
・測定システムの確認:機材の整備確認、消耗品の予備(電池など)
・人員の配置:
・測定場所の確認:暗騒音などの確認
・設定条件の確認:
・現場調査票などの確認:測定状況の記録
・低周波音発生状況などの確認:
・工場、施設等の稼働状況の確認:
・測定条件の確認:
・気象条件:風速など
・その他:測定状況を写真に撮影しておくと、その後の検討の際に役立つ
【注意】昼間などの道路交通量が多い時間帯に調査を行う場合は、暗騒音と対象となる低周波音が重なり、正しい値が測定できないことも考えられるため、その場合は交通量の少ない時間帯に測定する。
また、風が強い日に調査を行う場合は、風雑音が対象となる低周波音よりも大きくなってしまうことも考えられるため、その場合は風の弱い時間帯に測定する。
いずれの場合も、申し立てのある時間帯でこれらの影響が小さくなる条件で測定する必要がある。