3.現場の確認
低周波音の苦情対応においては、電話による聞き取り調査だけでは限界があるので、調査員が現場に行き周囲の状況把握及び発生源の推定を行う。発生源を推定する方法として、発生源と思われる施設の現状調査、施設の稼働時間帯と申し立て内容の時間帯との対応、調査員による耳、又は感覚によるものがある。
また、この段階で事前に簡易測定を行ってもよい。
発生源が推定・確認できる場合は、測定の計画も立てやすく、苦情者の申し立て内容をより的確に理解しやすくなる。
○現場調査のためのチェックリスト
以下は電話での聞き取り時に聞いてもよい。
ただし、その場合も現場での確認は必要。
・住居状況等:住居の間取りなど
・苦情者宅周辺の状況:
苦情者宅と、周辺の工場・事業場、店舗、民家などとの位置関係など
周辺の工場・事業場に設置されている施設と稼働状況など
周辺のその他の施設(苦情者宅周辺の民家・建物・店舗などに設置されている施設、苦情者宅で使用している設備機器と稼働状況)など
周辺の道路、鉄道等の状況など
都市計画法の用途地域、騒音規制法の指定地域など
その他特記事項など
○発生源確認のためのチェックリスト
・発生源と推定される工場等に設置されている施設の名称:
・発生源と推定される施設と苦情内容の関係:
施設の稼働時間帯、稼働状況、季節の変動など
苦情申し立てのある時間帯、季節の変動など
・苦情者宅の部屋ごとの苦情の状況:
・近隣関係:苦情についての話し合いの状況、予告無しの設備機器の変更など
・周辺地域の過去の苦情発生状況と行政指導の有無:
○調査員の所感の記録
・がたつきの有無、不快な感覚の有無、音が聞こえるか(感じるか)、部屋ごとの状況、屋外の
音の状況など、苦情者の申し立て内容と調査員の把握した内容の照合の記録
○発生源の推定・確認が出来た場合
・施設、設備機器等の種類と仕様、数と稼働状況:
・施設、設備機器等の全体的な配置図及び設置年月・能力台数変更の有無:
・施設、構造物、設備機器等の改築・改修の有無:
・過去の行政対応:
・環境管理の取り組みの状況:
・公害防止管理者等の有無:
・自主的な技術的対応が可能か(測定、対策など):
○発生源の推定・確認ができない場合
・申し立て内容の再確認:
【注意】工場など大型の施設が稼働している場合は低周波音が発生する可能性は当然高いが、あまり先入観を持ちすぎることも危険である。
また、暗騒音が小さい静かな地域では小型の施設であっても苦情の対象となる可能性がある。
聞き取り調査及び現場の確認作業から、発生源の推定・確認ができた場合には、発生源者に対して自主的な対応を行政指導の範囲で求め、測定の必要性や誠意ある住民対応などについて協議を行うとともに、測定方法、評価方法、対策などの技術的な情報の提供を行う。
次章に示す測定を適切に実施するために、測定のための電源確保や測定場所の調査も併せて行っておくことが望ましい。