殺虫剤の問題
・毒性のある殺虫剤の利用をやめ、別の害虫駆除方法を用いる。
害虫駆除に関する詳細はNational Pesticide Telecommunications Network*やNational Coalition Against the Misuse of Pesticides*などに問い合わせてください。
・化学合成された芝生の手入れ剤の利用を止める。
喫煙の問題
・建物内での喫煙が問題になる場合、禁煙の場所を設ける。
・これが不可能な場合、喫煙場所を定める。
過敏症患者が容易に煙を避けられる適切な場所であれば、建物の中であっても屋外であってもよい。
喫煙場所として、共同で利用する通路、建物のエントランス部分、ロビー、食堂などは適さない。
建物の中に喫煙場所を設ける場合、窓を開けるなどして良好な通気を確保し、煙が建物内に広がらないようにする。
喫煙場所もしくは建物全体に空気清浄機を設置する。 煙の出にくい灰皿を利用する。
・座席での喫煙を許す場合は、十分離れた場所に、喫煙可能な区域と禁煙の区域を設定する。
・禁煙の会議室を作り、その部屋は完全に禁煙にする。 これが不可能な場合、オンライン会議、テレビ会議、電話会議など、会議の方法の変更を検討する。
・喫煙をする労働者には、コミュニケーション方法の変更を許可する。
会議室内に、空気清浄機と十分な換気を備えた、禁煙区域を設ける。
電話、電子メール、ファックス、書面、喫煙をしない伝言係などを利用したコミュニケーションを認める。
その他
嗅覚過敏症に関する職場環境 整備案
・「香水を使用しない方針」の実践。
この方針は、既存の服装規定に追加する形で盛り込み、服装規定に順ずる運用をするべきである。
このような方針が「合憲」であるかどうかについては、かなり議論の余地があります。
そのため香水をつけて出勤しないよう要求することをためらう企業もあります。 しかしながら、香水過敏症の問題を重大に受け止め、「香水を使用しない方針」を定めている企業の方が多数派である。
さらに詳細な情報についてはJANまで問い合わせのこと。
・言書を出して禁止するのが不可能な場合、すべての社員に対して、香水をつけて出勤しないよう求める呼びかけをする。
このような呼びかけであれば、社報、電子メール、掲示板などを利用して行うことができる。
・トイレで、消臭剤、香料入りの清掃洗剤、香水、ポプリ、アロマキャンドル、化粧水、ヘアケア用品などを利用することを禁止する。
これらの製品の利用が避けられない場合は、「香水を使用しない」トイレを別に設けて、過敏症患者が安心して利用できるようにする。
香水を使用してもよいトイレと使用してはならないトイレの区別がはっきりとわかるよう注意する。
・換気設備がきちんと機能するよう調整を行う。
空調の吹き出し口が患者の座席の近くにあるのは望ましくない。
空調に消臭剤や香水を用いてはならない。
・香料を使う場合は、できる限り刺激性の物質が患者に届かないようにする。 窓が開けられる個室の設置、患者もしくは香水を使用する人を別の部屋に移す、電話ボックスのように座席を囲う、在宅勤務を認めるなど作業場所の変更をする といった対応で実現できる。
・空気清浄機の利用に効果が見込める場合は、空気清浄機メーカーと相談して、症状緩和に効果のある空気清浄機を探す。
・建物内に人が少ない時間に働けるよう、勤務スケジュールの変更を行う。
・人工呼吸マスクなどの着用を認める。
・「香水を使用しない部屋」という札を患者が勤務している部屋の入り口に掲げる、もしくは香水をつけている者が立ち入らない小部屋を用意してコミュニケーション 手段を別途用意する。
・同僚とのコミュニケーションが必要不可欠な場合、電話、電子メール、ファックス、伝言係、メモなど、コミュニケーション手段を別途用意する。
・患者が出席する会議には、必ず「香水を使用しない」会議室を利用する。
それが不可能な場合、電話会議やテレビ電話などを利用して離れた場所から会議に参加することを認める。
・継続的あるいは一時的に自宅勤務を認める
・屋外の空気に触れたり、薬を服用するための休憩を認める。
・診察を受けるために休暇を取得することを認める。
・すべての人が支障なく働ける職場作りを目指した、社員の教育と管理を行う (これがもっとも大切) 。
いかなる嫌がらせも許すべきではない。
意識向上と障害への理解の浸透によって、他者を受け入れる風潮を強化する。
状況別の解決案
状況
ある医療従事者は、同僚の使用する香水や新しいカーペットから出るガスのため、呼吸が困難であった。
解決法
同僚に、香水の使用を止めるか、量を減らすよう頼んだ。
患者の座席を板で囲い、空気清浄機を取り付けた。
カーペットの防毒加工、もしくは木のタイルなど毒性のない床材の利用を提案した。
座席が遠くなったことによる時間のロスは、同僚との連絡手段として電話、電子メール、ファックスなどを用いることで解消した。
状況
ある教員はシックハウス症候群の診断を受けていたが、校内で毎週開かれる会議に出席する必要があった。
普段の授業は校舎の外に設置した仮設教室で行っており、校舎の中にはまったく入ることができなかった。
解決法
JANでは、スピーカホンもしくはPA機器を利用して、普段授業を行っている仮設教室から会議に参加することを提案した。
議事録の提供も提案した。
ごく短時間の校舎内への立ち入りを試みる場合には、窓を開け、空気清浄機を設置するよう提案した。
患者にその意思があれば、人工呼吸マスクの着用も選択肢になる。
状況
あるグラフィックアーティストは、建物の改装関係の職場で働いており、塗料や建材から発生するガスのため、建物内での勤務が困難だった。
職務と密接に関わりのある部分で、利用する材料の変更が困難だったため、材料の変更以外の環境整備を考える必要があった。
解決法
特定の工程を処理する期間中、一時的に自宅勤務を認めることにした。
患者は自宅にコンピュータを持っていたので、必要なあらゆるソフトウェア、モデム、仕事にのみ利用する新規の電話回線などを用意した。
現場と患者の自宅との間でデザイン画をやりとりできるように、ファックスも用意した。
作業の進み具合をチェックするために、会社から定刻に送られる電子メールへの回答と、仕事に関するすべてのログの提出を求めた。
スピーカホンを利用して、毎週行われる会議に参加した。
状況
ある屋外労働者は、操作を担当しているディーゼル機械の排気のため、職務を遂行することが困難だった。 重機の操作と肉体労働の両方を担当していた。
肉体労働をしているときには、排気ガスに晒されることがないので、重機を操作しているときよりも円滑に職務が遂行できた。
解決法
JANでは、ディーゼルの排気を排除する、人工呼吸マスクの利用を提案した。
マスクの利用に効果がない場合は、より円滑に職務が遂行できる肉体労働に専念させるか、ディーゼルの排気に晒されることのない、空席のある役職への転属を 検討するよう勧めた。
runより:以前掲載したのは2011年でしたがアメリカに比べて日本の対応の酷さに呆れて再掲載しました。