3. 化学物質とは?
食品工場に関わる化学物質には、工場で使用している化学物質の他に、原料にすでに存在しているものと、製造過程で生成されるものがある。
代表的なものをいくつか列挙する。
3.1 原料に存在する可能性のある化学物質
動物性自然毒(フグ毒、貝毒など)、植物性自然毒(毒キノコ、トリカブトなど)、食物アレルゲンなど、原料中で存在するものと、殺虫剤、除草剤、動物用医薬品(抗菌性物質、成長ホルモンなど)、重金属など環境から汚染されるものとがある。
原料を選定するときにはどちらも考慮しなければならない。
3.2 製造中に生成する化学物質
原料として受け入れた時点では問題がなくとも、製造過程や保管状態によって、有害な化学物質を生成してしまう食品がある。
たとえば、冷蔵もしくは生の赤身の魚を原料として使用している食品はヒスタミンが生成しないように、食用油脂を使用しているものは油脂が酸化や加水分解などによって劣化しないよう保管方法や製造工程を管理する。
3.3 工場内で使用している化学物質
食品の製造現場では、食品添加物(使用基準が規定されているもの)、殺虫剤、除草剤、施設内で使用する潤滑油、洗浄剤、殺菌剤など、様々な目的で多くの種類の化学物質が使用されている。
これらの化学物質は適切な管理のもとで使用されれば、有益で安全なものである。
しかし間違った使用や取り扱いのミスにより製品への汚染、過度な残留、におい移りなどが起こる可能性がある。
これまでに殺虫剤による包材へのにおい移りや容器の洗浄不足による食品への殺菌剤の混入、食品添加物の計量間違いによる法律の基準以上の食品への混入、アルコールと殺虫剤の取り違いによる食品への殺虫剤の付着などの事故が発生している。