表2に大阪府での2010年、2011年の化学物質関連の回収事例を示す。
〈表2 大阪府での化学物質関連の回収事例(2010、2011年)〉
大阪府での化学物質関連の回収事例(2010、2011年)
これら事件・事故、製品回収の事例から、発生原因や回収理由は非常に多岐にわたっていることがわかる。
原材料の管理、洗浄殺菌、防虫対策、または悪意を持った行為など、管理する対象と場面は多様である。
つまり、化学物質の管理は、原材料から製品の出荷までの、あらゆる場面で必要である。
これは、微生物対策における加熱・冷却などのような管理のポイントを絞ることの出来るものと大きく異なる。
たとえば製品回収の理由の一つである異臭だけでも、さまざまな要因が考えられる(図2)。
〈図2 加工、流通過程における異臭の主な生成・付着要因〉
加工、流通過程における異臭の主な生成・付着要因
2.2 管理の難しさ
化学物質を管理する上での脅威は、製品に化学物質が混入した場合に、見た目では正常製品と区別がつかない点である。
異物混入や、腐敗変敗などと異なり、化学物質の混入や残留は、異味・異臭の生じることもあるが、視覚、嗅覚、または味覚などの五感で判断できないこともある。
そのために、消費者はそのまま摂食してしまう場合もある。
一方、製品、あるいは原材料に混入した化学物質を取り除くことは難しい。たとえば、アレルゲンは人によってはほんの微量でも症状が出る。
金属検出器のように異物の入った製品を特定する方法もない。
通常の製造工程ではそれを不活化させることは難しい。
これも異物や微生物の管理とは異なる点であり、このため、予期せず混入した可能性のある製品は微量でも、製品に出来ない。