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食品製造現場における化学物質混入対策
イカリ消毒株式会社
1. はじめに
化学物質による食品への汚染は、製造過程のいたるところで起こる可能性がある。
また、化学物質が予期せず食品に混入あるいは残留した事故や製品回収に発展した事例はこれまでも知られている。
化学物質は金属異物や微生物、昆虫類などと並び、混入防止を考えねばならない対象なのである。
本稿では、食品工場で問題となる化学物質の混入防止の考え方やその取り組みのポイントをまとめた。
2. 化学物質を管理する理由
2.1 化学物質による食品事故・事件
〈図1 2011年度 食中毒発生状況(8月1日現在)〉
図1は厚生労働省が発表している2011年度の食中毒の発生状況をまとめたものである。
化学物質が原因の食中毒は、発生件数は全体の2.3%、患者数は全体の4.4%にとどまる。
細菌やウイルスなどの、微生物による食中毒と比較すると、化学物質の食中毒は極めて少ない。
しかしながら、化学物質による食品事故・事件は表1のような事例が知られている。
〈表1 最近の事件・事故例〉
すなわち、化学物質による事故・事件は、重篤な被害につながる可能性があると考える。
化学物質が原因になっている食品事故の件数や被害者数としては少ないが、発生後の被害の重篤性から化学物質を慎重に、そして厳密に管理する必要がある。
さらに、製品に化学薬品の混入や残留があれば、製品回収に発展する可能性も高い。表1のようにニュースで取り上げられなくとも、残留農薬、添加物の過度な使用、アレルゲンの混入などによる製品回収は行われている。