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有機栽培でさえない!「自然栽培」の農作物革命 『日と水と土』
17:00 07/02 2007
渡邉正裕
「日と水と土」 。自費出版で3千部。
医師の三好さんと一緒に、銀座店にて、著者の河名さんの話をじっくり聞いた。
「三好さんもそうだけど、俺こそ殺されるよ、化学肥料メーカーに」。
そう話す河名秀郎さんは、完全に肝が据わっており、一生ブレないな、という安心感を感じさせた。
河名さんの本を読んだ。
最初は、普通の自然派の店主なのかと思いきや、ぜんぜん違った。
河名さんは、徹底的に、「無農薬」かつ「無肥料」で栽培することにこだわっているところがポイントだ。
つまり、大自然の摂理を重視し、余計なものは何も与えないという、これまでの常識を覆す「自然栽培」農産物の流通を進めている第一人者だ。
有機栽培・オーガニック栽培というのがブームであるが、これらは無機の化学肥料ではなく、有機の、つまり家畜の糞尿堆肥を肥料として使う。化学栽培よりは自然に近いから良いはず、という論理だ。
だが河名さんによれば、有機だろうが無機(化学)だろうが、肥料を大量投入すると、窒素過多となり、野菜が腐敗しやすくなる。
また、そもそも農水省指導による「有機JAS規格」は、十数種の農薬を使えてしまう。
だから、有機だろうが無機(化学)だろうが、とにかく肥料は使わない。
◇安さを追いすぎる消費者の問題
実際に、米や柿を使った実験で有機栽培モノと自然栽培モノを比べると、有機モノは腐っていくが、自然モノは腐らずに発酵し、お酒になり、そして酢へと変わり、枯れていく。
これが自然の摂理だ。
一方、肥料を投入して即席で作った有機野菜、無機野菜たちは、即席で腐っていく。
自然モノの葉物は、ゆでても重量が変わらないという。
例えば、ほうれん草をゆでても、100グラムは100グラムだという。
一方、市販のほうれん草は、肥料で細胞を肥大させているため、細胞の中身もろとも流出してしまう。
どちらが人間の体によいものかは、考えるまでもないだろう。
自然栽培では、枯れ葉や枯れ草を堆肥として使う程度。
あとは、種子を蒔いたり苗を植える際に草を抜いてやる。
害虫や病原菌に対しても、農薬で殺すのではなく、自然の摂理にまかせて共生を図る。
詳しいノウハウは分からないが、セミナーを開くことによって“信者”を増やしており、経営も軌道に乗ってきているそうだ。価格は通常の1.5倍程度で、これが正常価格。
ミートホープの偽装事件でわかるとおり、安いものには必ずワケがあり、安さばかりを求める消費者にも問題があるのだ。
◇化学物質過敏症患者が食べられる
戦後の日本は、人の命よりも企業利益を優先してきた。
生活者・消費者の立場からの情報革命を目指すMyNewsJapanとしては、たいへん共感するものがあった。
農薬の面積あたり投入量は、日本は韓国に次いで世界第二位だという。とにかく今の野菜は、クスリまみれなのだ。
国民の健康よりも、化学肥料メーカー・農薬メーカーの利益を重視してきた結果。
その最たるものが、化学物質過敏症などの患者だろう。
三好さんが、重症の化学物質過敏症の患者さんに河名さんの自然栽培モノを薦めると、拒否反応なく食べられるのだという。
そんな人たちが数十名おり、自然栽培農産物は、もはや「命綱」となっているというのだ。
そのメカニズムは、現代の科学では解明されていない。
そもそも、自然の摂理を論理的に全て説明できるという考え方が間違っているのだと思う。
ヨーロッパ近代が作り上げた「すべてのものは時計のように要素分解でき、論理的に分析できる」とする機械論的世界観・要素還元主義は、もはや限界に来ている。
複雑系の概念による大自然の摂理を優先すべき時代なのだと思う。
たとえば種子そのものにも、農薬成分や肥料成分が残存するため、手間はかかってっも、種子もメーカーから買うのではなく、自分でとらないといけない。
◇本物は「腐る」ではなく「枯れる」食材
本物の改革者には、常にその反対側に、既得権者がいる。化学肥料メーカーや農薬メーカーにとっては、自然栽培など進めるのはとんでもない.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。