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日本の甘い農薬基準が五輪の国産食材調達に暗雲!?
2016年03月17日 ニュース
五輪エンブレム、続く新国立競技場問題でゴタゴタ続きの2020年の東京オリンピックとパラリンピック。
選手村の食堂などで「日本の“食”を世界にアピールする」絶好のチャンスだが、その元となる国産食材確保に暗雲が立ちこめている。
国産食材採用に高い壁、このままでは外国産に依存!?
自然栽培のイチゴを食べて笑顔を見せる木村秋則さん
使用食材となる農産物の国際認証を得る必要に迫られている。
前回のロンドン五輪で採用された「グローバルGAP(農業生産工程管理)」取得が不可欠になりそうなのだ。
ヨーロッパではじまったこの認証は、ヨーロッパの農産物の約8割をカバー。世界80か国以上で8万を超える生産者・団体が認証を取得する国際規格だ。チェック項目は農作物の安全性のほか、農薬による水質汚染などを防ぐ方法や生産者の労働環境など約250にのぼる。
ここでネックになるのが、日本の農薬の使用基準の緩さだ。
ヨーロッパで使用禁止の農薬が日本では野放し状態。
例えば、トマト、キュウリ、ナス、タマネギなどの多くの野菜に使われる殺菌剤「プロミシドン」は収穫前日まで散布可能だ。
WHO(世界保健機関)の報告書で胎児への悪影響の恐れが指摘されている。
フランス最高裁で「ミツバチ大量死の原因」として販売禁止の判決を受けたネオニコチノイド系殺虫剤も日本ではリスクが“完全には”証明されていないとして使われ続けている。
さらに水質汚染の原因である肥料の使用量についても、ヨーロッパのような規制がない。
健康被害を引き起こす恐れのある硝酸態チッソの基準値もないのだ。
こうした状況下で、認証を取得できる日本の農場はどれくらいあるのだろうか。
ロンドン五輪の選手村では330トンの野菜と果物が消費されたが、この量を国産農産物でまかなえるのだろうか。
「このままでは認証を受けた国産の食材だけでは十分な量を確保できず、かなりの食材を外国産に頼らざるを得ないのでは……」
農業関係者から不安の声がもれる。
だが、明るい話もある。
自然栽培の生産者を増やすチャンス
「パラリンピックでは障がい者施設の作った食材を積極的に使っていこう、となっているんです。世界にない自然栽培の食材をオリンピックの食材に使っていこうって」
こう胸を張るのは、『奇跡のリンゴ』で脚光を浴び、全国各地を飛び回って自然栽培農法を広める木村秋則さんだ。
無肥料・無農薬を旨とする自然栽培では、使用農薬の問題も硝酸態チッソの心配もない。
課題は、大会期間中に、数をそろえて安定供給できるかということだけだ。
愛知県豊田市でこのほど開かれた講演会で、木村さんは農業関係者らに訴えた。
「愛知県は北海道につぐ農業県。オリンピックの食材に『メイド・イン・アイチ』と表示されるような野菜をぜひ作ってほしい。世界一安全・安心な食材の生産地になってほしい」
2020年はもうすぐだ。基準値の甘さを不安視されている日本は、同時に「自然栽培」の分野でアピールできる可能性も秘めている。
取材・文/田中裕司(ノンフィクションライター。
著書に『希望のイチゴ~最難関の無農薬・無肥料栽培に挑む~』など)
runより:今日は木村さんデーになりました(^_^;)
海外では通用しないJAS規格含めて変えろと思います。