シグナルキャッチの功績「全国に化学物質過敏症を知らせる啓発活動」 | 化学物質過敏症 runのブログ

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 「全国に化学物質過敏症を知らせる啓発活動」

鹿児島ひとみさんの写真 鹿児島ひとみさん
NPO団体 シグナルキャッチ代表


「NPOシグナルキャッチの立ち上げの経緯と理由」を伺いました。
 代表の鹿児島さんは佐賀に引越し、家を建て入居後、高校生の子供さんが不登校になりました。

子供さんは学校に行きたがっているのに睡眠障害、体調不良などで高校に通うことが出来なくなったそうです。

その時ふと近隣に目をやると、同じような症状で学校に行きづらい子どもが多く、シックハウスが原因と知ったとき「同じ小学校中学校を卒業した子どもたちの不登校がが多いのはおかしいから調べて欲しい」と行政機関などを廻ったが、聞き入れられなかったそうです。
 この状況を知った時、シックハウスが家の建築材料だけの問題ではなく農薬などからの空気汚染や学校の環境なども影響していて(化学物質過敏症)、これは社会問題だと思い、誰にでも起こりうる化学物質過敏症という病気の実態を社会に伝え、子どもたちが健全に過ごすことが出来る世の中を目指したいと、2001年7月に友人の弥富さんと共に『シグナルキャッチ』を立ち上げました。
 「私の子供は、近所で大量の樹木の薬剤散布、除草剤の使用がされていた小学校に通っていました。また、進学した中学校は新築で、校舎の前面には畑が広がっていて農薬の空中散布が行われていました。このようなことから一般の人より新建材の化学物質や農薬の影響をうけ、化学物質過敏症になってしまったのではないかと思います。化学物質過敏症は、化学物質が体内に蓄積され許容量を超えた時に発症するので個人差があります。つまり人間一人一人が体の中に化学物質がたまるコップを持っていて、そのコップにも大小の個人差があり、小さければ早くあふれて化学物質に反応し症状がでるのです。
 私の知っている不登校の子どもたちを見ると、家が新築や改築をしていて、周りには畑があって農薬を吸っている子どもたちが多かったのです。このような子どもたちが、小中学校で化学物質過敏症になっていることを知らずに、ストレスを感じることが多くなる高校生の時期、不登校になる状況を多く見受けました。」


 「スタッフの皆さんに、シグナルキャッチに参加されたきっかけ」を伺いました。


弥富さん:
 「鹿児島さんの子供だけが特殊ではない。自分の子供や孫も化学物質過敏症になるかもしれないと危機感を感じ一緒に活動をしたのがきっかけです。」




山口さん:
 「シグナルキャッチを立ち上げた頃に、鹿児島さんが佐賀新聞の広場に投稿した記事を読んで連絡を取り、シグナルキャッチの講演会や勉強会に参加した結果、社会的問題と感じたからスタッフとして関わっていこうと思いました。」




今泉さん:
 「子供のアレルギーの会を立ち上げていた時期があり、その時、シグナルキャッチと知り合って化学物質過敏症とアレルギーは近いものがあると話していました。その後私自身が、新築時家具を購入して、その家具で化学物質過敏症を発症した経験をふまえ、このような病気があることを皆さんに知らせていきたいと思いました。」



浦原さん:
 「シグナルキャッチの友人からスタッフに入らないかと進められ、今に至っています。みんなにありうる病気と思い、身近な人に化学物質過敏症の啓発を勧めています。」



「シグナルキャッチの活動内容」を伺いました。
ミーティング1の写真 弥富さん:
 「活動の柱は、化学物質過敏症を知らせる啓発活動です大学の先生・病院の先生・建築家・造園業の方々・農業者とネットワークを組んで活動しています。具体的には、行政への要望・啓発、アンケート調査、国に要望書提出、会報の発行、講演会開催、勉強会、ホームページ・ブログ、講演活動などです。」



「県内でシックスクールや化学物質過敏症で苦しんでいる方は、多いのですか?」
ミーティング2の写真 鹿児島さん:
 「化学物質過敏症になっても、その苦しい状況が化学物質過敏症だと知らない人が多いのです。治療する病院が無いことも原因です。また、建築基準法が改正されてから、さらに相談件数が増えました。これは建築基準法の改正でマスコミに取り上げられシックハウス症候群の認知度が高まったからだと思います。改正したことでシックハウスの問題が解決したとは言えないことも読み取れます。特に相談の多くが、アパートに住んでいる若い夫婦からです。アパートは入退去時に薬剤を使った清掃・壁紙の張替え・畳替えなどで化学物質が多用され、引っ越してきてから体のかゆみ、せき、頭痛などのシックハウス症候群の初期症状の相談が多く、そうなると快適に住める場所を探そうとしてもなかなか無いのが現状です。」と話され、相談件数は、200件を超えるそうです。


ミーティング3の写真 「シックスクールの現状」を伺いました。
鹿児島さん:
 「佐賀市は公共建築物の化学物質測定を始めて3年が経過しました。

しかし化学物質が人間の体に負担を与えることを理解しない限り、規制をしてもなかなか改善されません。また、学校内の化学物質測定数値が高くても先生は、『子供たちはみな健康で化学物質に汚染されている生徒はいない』と言われます。しかし、各生徒の症状を先生方が知らなければ見つけることは出来ないし、シックスクール症候群の子どもがいると認識すれば、寒くても教室の窓を開けて換気をするなどの対処が出来るでしょう。」
弥富さん:
 「現在佐賀市内の小学生には本人や親が自覚している化学物質過敏症の子どもが6人いて、親が教育委員会に申し出ています。」
鹿児島さん:
 「小学生の頃は、アレルギーがひどくなる、アトピーがひどくなる、イライラしがち、いつも疲れた様子、鼻血が出やすいなど、すぐに不登校に結びつかないことが多いのですが、中学・高校になりストレスを感じると不登校につながる恐れがあります。元気に遊びまわっていても、兆候が少しでもみつかった時に相談していただければ対処法もあります。」
山口さん:
 「空気はみんなが吸っています。シックハウスやシックスクールは建物の中の空気環境だけではなく、外部の空気環境からも影響を受けていることも多く、建築基準だけに囚われず、行政や業者、一般家庭などが協力しあい、除草剤や農薬散布などによる影響も含め、全ての空気環境を考えていくことがユニバーサルデザインだと思います。」
鹿児島さん:
 「全ての人がこのことを知ると空気環境のユニバーサルデザインができると思います。私もこの病気を知る前は下駄箱に消臭剤、芳香剤を入れたり、殺虫剤をむやみにまいたりしたこともありました。一人でも多く空気環境のことを考えるようになると、社会が変り、子どもたちが元気に暮らせる社会になるよう活動を進めています。」

「化学物質過敏症の現状」を伺いました。
鹿児島さん:
 「私たちの会員にも生きる場所を日本中探しまわっている人が10人以上はいます。その方々は30年前から化学物質過敏症の症状が出ていて、化学物質過敏症が社会に認識されてなかったため、病気が進行してひどくなっているのです。60歳代に多くいます。また、佐賀県にシグナルキャッチがあるからといって、佐賀県に転居してきたのに、わら燃やしや農薬の空中散布で、空気が汚染され、仕方が無く佐賀県を出ていってしまった方々も多いです。昔ながらのわら燃やしですが、農薬をまいたところを燃やされたら患者たちは空気環境の良い場所を探し逃げ惑わなければなりません。また、国がこの病気を認めたら、化学物質過敏症の認識が変わってくると思います。そのためには、個人がこの病気の存在に気づかないと始まりませんので、地道な啓発活動をしています。私たちが活動を始めた時、『10人に一人は化学物質過敏症の人がいる。』と北里大学の先生方がおっしゃっていましたが、現在では7人に一人の発病者がいて子供たちには3人に一人はいると言われています。」

ミーティング4の写真 「最後に一言ずつ伺いました。」
鹿児島さん:
 「社会の機運を作ってきたのは、私たちのような日本全国の小さな団体の草の根の活動だと思っています。一人一人の認識が浅くまだ他人事で、自分のことと思ってない人が多いので『気づき』を与えることが必要と実感しています。空気環境を身近な自分自身の問題と捉えていただくために、今後は、全国的なアンケートをシグナルキャッチ会員や関係各団体を通じての配布、インターネットなどで実施し、『気づき』と解決の道を見つけていきたいと思っています。」
弥富さん:
 「この病気を知ってからは、怖くて自分の周りの化学物質を排除して生活をしていますが、便利さを追求しない分、以前より気持ちが豊かになって暮らしています。」
今泉さん:
 「夫が造園業で、薬剤散布などをしていて、過敏症になって視力が急激に落ち、化学農薬の怖さを知りました。現在は独立をしてハーブなどの自然薬剤を使って地球に優しい造園業を営んでいます。」
  鹿児島さん:
 「化学物質を多用している職業の人が化学物質の怖さを一番知っていると思いますが、企業としては言えない部分が多く、だからこそ今泉さんのような造園業の方が増えることを皆が支持することが、好ましい社会の変革になっていくと思います。今泉さんの夫を招き、ガーデニングの勉強会をした時、『化学薬品を使わない天然のハーブとか、たまねぎの汁などを使っていると年々、土が強くなり、木が強くなって、いままで咲かなかった花が咲き、良い虫と悪い虫が戦い、花を咲かせる循環型の社会が確立する。』と話されていました。」
山口さん:
 「家業は塗装業をしていますが、化学物質過敏症まで至った人は極端ににおいに過敏になることもあり自然塗料でも使えなくなる事が多くなります。そのような人たちにはむしろ塗装をしない方が良いと伝えることが私の役目だと考えています。」

鹿児島さんの写真 鹿児島さん:
【子どもたちが教えてくれたことを社会問題として発信することで仲間ができ、『自分の子どもだけでなく、問題を抱えている多くの子どもも絶対元気になる』と思い活動を続け私は元気をもらっています。化学物質過敏症で苦しんでいる子どもたちが社会復帰できるまで、社会に知ってもらう、国が認めることにより、人が生きていける空気に変わり、そして化学物質過敏症の子どもたちも就労できる場所が出来ると思っています。今後も、家族→市民→国へと活動を広げていきます。」



NPO団体 シグナルキャッチのホームページ http://cssaga.nomaki.jp/signal/signal.html

佐賀県 健康福祉本部 地域福祉課


runより:残念ながらシグナルキャッチは活動休止中ですが見事な前例を作ってくれたと思います。