鍼治療で線維筋痛症の痛みが軽減
臨床医学 | 2016.02.22 07:00
スペイン・Doña Mercedes Primary Health CentreのJorge Vas氏らは,線維筋痛症患者に対するテーラーメイドで行う鍼治療の有効性をランダム化比較試験で検討した。
9週間の治療介入後に痛みの強度が有意に改善し,その効果は1年後も維持されたことをAcupunct Med(2016年2月15日オンライン版)で報告した。
個別化治療の効果を偽治療と比較
線維筋痛症は全身的な慢性疼痛疾患で,痛みによる疲労や睡眠障害,うつ症状などを併発することも多い。
罹患率は2~5%で,患者の90%がマッサージや水治療法,鍼治療などなんらかの補完療法を受けている。
鍼治療の効果を検討した過去の臨床試験は標準化された治療法に基づくものが多く,テーラーメイド治療の有効性を検討したものは,ほとんどなかった。
今回の研究では,スペイン南部の複数のプライマリケア施設で,米国リウマチ学会(ACR)の診断基準に基づき線維筋痛症と診断した17歳超の患者164例を登録し,テーラーメイドの鍼治療群(実治療群)と偽治療群にランダム化して治療した。
両群とも診断時に中国医学に基づく個別の評価を行い,1回20分の治療を週1回,9週間施行した。
偽治療群には治療時に実治療群と同種のガイドチューブを背部と腰部に当てたが,鍼は留置しなかった。
試験前,10週後,6カ月後,12カ月後に,痛みの程度とうつ症状,健康関連QOL,全体的な病状を,質問票を用いて評価した。常用の鎮痛薬や抗うつ薬などは,試験中も継続させた。主要評価項目は,10
週後の痛みの強度の変化とした。
9回の治療で痛みが41%低下,QOLも改善
Intention-to-treat(ITT)解析の結果,ベースラインと比べた10週後の痛みの強度は,偽治療群で平均27.1%(95%CI -33.2~-20.9%)低下したのに対し,実治療群では41.0%(同-47.2~-34.8%)低下し,両群間の差は有意であった(P=0.001)。
また,12カ月後の痛みの強度の低下率も,実治療群が19.9%(同-24.6~-15.1%)と,偽治療群の6.2%(同-11.2~-1.2%)と比べて高かった(P<0.01)。
10週後の疲労や不安,うつ症状,全体的な病状に関しても,実治療群で偽治療群と比べ改善度が高く,これらの群間差は,12カ月後も維持された。
ただし,追跡期間の終了時には抗うつ薬の使用量が有意に増えており,こうした長期の影響の解釈には注意を要する。
鍼治療の副作用はほとんど見られず,あっても軽度であった。
Vas氏らは「テーラーメイドの鍼治療は,線維筋痛症患者に対する実施可能な治療法である。同治療は,患者の病状を改善し,そのことが,介入後および追跡期間中の痛みの強度の低下や,機能的能力およびQOLの改善に反映されていた」と指摘。
「こうしたアウトカムは,標準化された鍼治療について検討した過去の研究では報告されていない。
したがって,今回の知見は,鍼治療の開始に当たり個別化した治療アルゴリズムを採用することが重要である可能性を示唆している」と付け加えている。
(小路 浩史)
runより:線維筋痛症は色んなアプローチがありますね。
化学物質過敏症は個人差が大きすぎて効果があっても発表できない物が多いですね(´・ω・`)