ネオニコ秋田・北海道巡業報告 ここまできた“沈黙の春” | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
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・ネオニコ秋田・北海道巡業報告 ここまできた“沈黙の春”
理事 水野 玲子
プロナトール自然保護基金の助成を受けて、5月22日より27日までの6日間、国民会議では北海道、秋田の脱ネオニコの動き、有機農業への転換に向けた動きの視察を行った。

国民会議からは田坂、水野、ネオニコネットからは御園が参加した。

いくつかの訪問地の中で、とりわけ注目された秋田県の男鹿半島の報告をしたい。

秋田の男鹿半島で海や野山から生き物が消えた!
 本州の北端、日本海に面した秋田県男鹿半島で想像を絶した自然破壊が進んでいる。

海では、これまでたくさん取れていたハマグリやコウナゴが減り、他の魚貝類もめっきり取れなくなった。
 秋田の養蜂家たちは、水田にスタークルなどの農薬を撒布すると飼っていたミツバチが死ぬので、仕方なく毎年新しく購入している。

行政はミツバチの箱を移動しなさいというが、山はクマなどがいるので管理が大変だし、逃げてもだんだん弱ってくる。
もうこれ以上続けられないと廃業も考えている。

森林では10年ほど前にはどこにでもいた虫たち、トンボやブヨ、カ、アブラムシ、アリなどが姿を消した。

花粉を媒介する虫が消えたので、花は咲くが実はならない植物もでてきた。
 一方、秋田の海岸線に広がるクロマツは、この数十年間に松枯れ防除の農薬散布を行っているにもかかわらず、松枯れは広がる一方である。

男鹿半島のマツの大半が2003年頃にはほぼ壊滅状態となった。

その後ナラ枯れ、シナノキ枯れ、さらにササ類まで不具合が進行している。

 クルマで男鹿半島を回ると、枯れて白骨化した木々の塊りが見える山々が広がっている。

樹木が生きる力を失って悲鳴をあげ、私たちに何かを訴えているかのようだった。

それに代わって勢力を拡大しプロナトール自然保護基金の助成を受けて、5月22日より27日までの6日間、国民会議では北海道、秋田の脱ネオニコの動き、有機農業への転換に向けた動きの視察を行った。

国民会議からは田坂、水野、ネオニコネットからは御園が参加した。

いくつかの訪問地の中で、とりわけ注目された秋田県の男鹿半島の報告をしたい。
てきたのが、沿道に広がる外来種のニセアカシアなどで、植生がすっかり変化してきた。


水田と松林に大量のネオニコ散布
 秋田県では、松枯れ防除として無人ヘリなどで松林に2003年よりネオニコ系のエコワン3フロアブル(成分:チアクロプリド)やマツグリーン(成分:アセタミプリド)が散布されてきた。また、水田にはカメムシ防除のためのネオニコ系のスタークル(成分:ジノテフラン)が2006年から散布され続けている。
 有人ヘリコプターで水田にまく農薬の散布面積は全国で合計3万8000ha だが、茨城県の筑西市、山形県村山市、秋田県男鹿市の3市のみが3000ha を超え、その地域だけで全国の散布面積の3分の1近くになる。

それら散布との関連は不明だが、2007年には、これまで見たこともない赤潮が近くの海一面に広がり住民を驚かした。
 イネのカメムシ防除に加えて海岸沿いに広がる松林にまかれたネオニコの両方が、河川を通して海に流れ込んでいる。

海の生物がそれらによって壊滅的状況におかれている可能性も考えられるが、そのことに気づいている人はほんの一握りである。


農薬ではなく炭をまいた松林は生気を回復!
 1980年代のはじめ、ドイツの黒い森(シュヴァルツヴァルト)で多くの木が突然枯れ始めた。なかでもマツ科に属するモミ属のトウヒが環境の影響を最も受けやすく酸性雨の影響といわれた。

それと同じ状況が男鹿にも広がりつある。

木の枝の先端が元気を失い下に垂れさがり、ねじ曲がってスパゲティシンドロームと呼ばれる現象だ。



編西風にのって海を越えてやってくる酸性雨もその大きな原因だろうが、日本では松枯れの大気汚染説は、酸性雨説とともにあまり重視されず、国は、1977年以降の40年以上、マツノザイセンチュウを農薬で防除することに、莫大なエネルギーと資金をつぎ込んできた。
 それでも、松が枯れている原因は酸性雨などの大気汚染に違いないと、酸性土壌を中和する実証試験を試みている大森禎子さん(元東邦大学理学部教授)とその協力をしている「男鹿の自然を考える会」の安田勲さんの試験林を見学した。

2003年より秋田市の小児科開業医金子操さんから松林をお借りして実験的に枯れかけたクロマツ林に炭をまいて、土壌を中和する試みを続けている。その試験林の松は青々として炭撒布から一本も枯れたことがなく子苗も出てきていた。

もちろん、キノコも出てくるという。

土壌が酸性化していたことの何よりの証拠である。

40年以上も松枯れ防除のために農薬散布が行われてきたが、解決策は意外と身近な所にあったのかもしれない。
 大森さんと安田さんは、松枯れ防除の農薬散布より松林に炭をまくべきだと何回も秋田県などに提言したが、まったく相手にしてもらえなかったという。

それでも86歳の大森さんは、今年も試験林の土壌サンプルを熱心に集めて分析している。

また、安田さんは松林での除染(剥ぎ取り)試験を是非行いたいと方々に働きかけており、除染プラス炭撒布で農薬に頼らない松林の維持を目指している。


受粉昆虫が消え花が咲いても実がならない
 男鹿半島の国定公園の管理員でもある安田勲さんは、1975年より夫婦で自然観察や保護活動を続けてきた。

この公園内の真山水喰沢は、里地・里山と男鹿半島最高峰である本山など原生林を有する男鹿三山との中間に位置し、生物多様性が豊かな土地である。

これまで、この地を訪れた人たちに自然観察の機会を提供してきた。

ところが、2006年の8月頃からかつて経験もしたことがないことが起きた。

トンボ、ホタル、ハチ類、カ、ハエ、テントウムシ、クサギカメムシを除くカメムシ類、チョウ、ガ、クモなどの驚くべき激減が始まったのである。

その原因を探ろうと2007年より夫婦で動植物の調査を始めた。

調査方法は、徒歩による現地の目視だが、2014年の調査項目の生き物と植物の数は329種類にも及んだ。

1996年から2005年当時に比べて、やや減少(80%)、減少(60%)、かなり減少(40%)、激減(20%)、確認困難(5%)、認不可(0%)に分
けて調査を実施し報告書をまとめた。 男鹿の自然を考える会のこの生物調査を、この紙面では一部分しか紹介できないが、2014年時点で結実が少ない植物としては、ブルーベリー、ミツバアケビ、ウメ、ナツハゼ、カリン、カボチャ、スイカなどがあった。

こうした生態系の激変の原因を安田さん達はさまざま考察したが、最終的に辿りついたのは、2006年からはじまった水田へのネオニコ散布や、2003年からはじまった松林へのネオニコ散布の影響の可能性であった。

「ミツバチが減った、スズメが減った」、これまで全国各地を回って聞こえてきたのはハチや鳥類の減少だったが、男鹿半島で行われたこの調査によって見えてきたこと、そして実際にこの地を訪れて感じたことは、生態系の大き崩壊が虫や鳥だけでなく、海の生き物や植物にも及んでいることだった。

海辺の漁師の人が言った。

「海に海藻も貝もなくなった。魚も取れなくなった。何かがおかしい」と。

“ 沈黙の春” が、日本の片隅でこのように現実のものとなっている。


runより:考えれば考える程恐ろしさを感じますね。