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http://www.47news.jp/feature/medical/2015/11/post-1393.html
2015.11.10

寝たきりの重症者3割も慢性疲労症候群、初調査で深刻さ伝わらず偏見も
患者の3割が寝たきりの重症―。

強い倦怠感や睡眠障害が続く「慢性疲労症候群」(CFS)の実態が、国による初の調査で明らかになった。

明確な治療法がない上、症状の深刻さが伝わらず、病名から「怠けている」との偏見も。

治療にかかる経済的負担も重く、患者からは支援の必要性を訴える声が出ている。


▽欠勤、退職

 家事もできないほどの筋力低下に記憶障害。少しの外出で寝込んでしまう激しい疲労感。

「とにかく体がしんどくて動けない」。

東京都新宿区の佐藤まゆ子さん(41)が異変を感じたのは、2007年春のことだ。



 就職支援会社で毎日深夜まで働いていた。

運動好きで、ホノルルマラソンを2回完走した経験も。

だが、はしかにかかってから、耐え難いだるさを恒常的に感じるようになった。

月に1回は欠勤する生活が続き、休職を経て10年に退職した。



 この間、人間ドックや心療内科を受診しても異常はないと言われ続けた。

ようやくCFSとの診断を受けたのは11年4月になってから。

医師には「はしかが発症のきっかけでは」と言われた。



 今、ひどい時は半日程度起き上がれない状態で、電動車いすがないと外出できない。

昨年3月に障害者手帳を取得。

同居する母親の年金と、自身の障害年金の計約20万円が毎月の収入源で「貯金を切り崩しながら何とか生活しています...」。



▽無理解

 研究者によると、国内のCFS患者は24万~38万人と推計される。

だが詳しい発症要因は不明で、確立した治療法も見つかっていないという。



 厚生労働省は昨年度、患者251人(平均42歳)を対象に調査を実施。

「常に介助が必要で終日寝たきり」「しばしば介助が必要で日中の50%以上寝たきり」との回答が30%に上った。

半年以上続く症状としては、「疲労回復しない睡眠障害」「広範囲な筋肉痛などの痛み」などが多かった。



 だが患者らでつくるNPO法人理事長の篠原三恵子さん(57)は「外見からはつらさが伝わらず、怠けているだけだと誤解も受けやすい」。

患者調査でも、困ったこととして「症状が耐え難い」などとともに、「社会的孤立」「病気への無理解」を挙げる人が目立つ。



 篠原さんらは、「筋痛性脳脊髄炎」など病態を表す名前に変更するよう国などに要請。

理事長を務めるNPO法人も「筋痛性脳脊髄炎の会 」とした。

海外では米国医学研究所が今年、「SEID」(Systemic Exertion Intolerance Disease:全身性労作不耐性疾患)を提案したが、異論もあり国際的な統一見解がないのが現状だ。



▽経済的支援

 CFSは、「患者数が18万人未満で客観的な診断基準がある」との要件を満たさないため国の指定難病ではなく、医療費助成の対象外だ。

厚労省は「身体障害者手帳の取得や障害年金の受給も受けられる」とするが、患者調査では、身体障害者手帳を持つ患者は14%、障害年金を受給している患者は34%にとどまる。

篠原さんは「中等症でも通常の生活が困難でほとんどの人が働けない。

何らかの形での経済支援は絶対に必要」と訴える。



 関西福祉科学大の倉恒弘彦教授は、重症者が多い実態を重視。現在は米疾病対策センターの基準などを使って、患者の症状に基づいて診断されているが、「客観性がない」と問題視する声もあり、自身が代表を務める厚労省研究班で来春にも新たな診断基準をまとめる意向だ。



 同省の担当者は「患者が病院を転々とする事態を解消し、症状に対応した治療法の研究が進む」と期待。

倉恒教授は「国が、きちんと診療できる医療機関を全国に整備する必要がある」と指摘している。

(共同通信 中本広之)