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2015年9月20日 4:00 AM
アレルギー
衛生仮説
農場生活の子にぜんそく(喘息)少ないのはなぜか
農場で生活する子どもではぜんそく(喘息)やアレルギーが少ない。
このたびその理由の一端が分かった。
アレルギー予防のヒントになりそうだ。
微粒子の影響に注目
ベルギーのゲント大学、フランスのエクス=マルセイユ大学を含む研究グループが、有力科学誌のサイエンス誌2015年9月号で報告した。
研究グループによると、酪農場で育った子どもがぜんそくやアレルギーを発症することはめったにない。
気道に軽い炎症を起こす微粒子が、肥料や家畜のえさの周りにただよっているからと見られている。研究グループはこのプロセスに注目した。
農場のチリにさらされると変化
研究グループは動物実験によって、ネズミを農場のチリに2週間さらして、さらにチリにさらされたときのアレルギーの起こりやすさを確認した。
農場のチリにさらされた場合とさらされない場合で反応は差が生じた。
チリにさらされると、気道の免疫細胞が、農場のチリにさらされなかった場合より少なくなった。農場のチリの中にアレルギー反応を抑える物質が機能したと、研究グループは指摘する。
アレルギーを抑える酵素
その上で、このアレルギー反応を抑えるときに、「A20酵素」という体内物質が関わると突き止めている。
まず動物実験でA20を作れないようにすると、農場のチリにさらされても、チリから体を守る働きが出てこなかった。
さらに、農場で生活する子ども500人を調べたところ、遺伝子の特徴によりA20酵素が少ない子どもは、5倍ぜんそくになりやすい傾向があった。
農場のチリがA20酵素に反応して働き、アレルギー反応を抑える。
この酵素は、アレルギーの予防や治療に利用可能かもしれない。
文献情報
Study explores why exposure to dust protects us from allergies
http://www.sciencemag.org/content/349/6252/1106.full
(Medエッジニュース)