-2:薬物性味覚障害とは? | 化学物質過敏症 runのブログ

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副作用の判別基準(判別法)

すでに味覚障害の副作用が報告されている薬剤で味覚障害を生じた場合は、その薬剤が原因と考え、可能であれば、服用の中止などの処置をとるのが、常識的である。
薬物性味覚障害と診断するためには、原因となる薬剤と味覚障害の間に明確な関係を示すことが必要である。
発症が薬剤の使用を開始してからみられ、薬剤の中止によって症状が改善することが確認されて、初めて両者の因果関係が証明できる。
実際にはこれを証明するのは困難なことが多い。

判別が必要な疾患と判別法

味覚障害の原因別頻度については、薬物性味覚障害が最も多く(21.7 %)、ついで、特発性(15.0 %)、亜鉛欠乏性(14.5 %)、心因性(10.7 %)、さらに、嗅覚障害、全身疾患性、口腔疾患、末梢神経障害、中枢性神経障害による味覚障害などが報告されている2)。
以下、判別の必要な疾患について述べる。
① 特発性味覚障害
血清亜鉛値を含め諸検査が正常であり、原因や誘因が不明な味覚障害である。
その大部分は食事性潜在性亜鉛欠乏症とされ、亜鉛製剤投与が有効な場合が多い。
血清亜鉛値や各種の検査で味覚障害の原因となるような異常が見つからない場合に特発性と診断する。
② 亜鉛欠乏性味覚障害
血清亜鉛値の低下が証明され、かつ、それ以外に味覚障害の誘因や原因が明確でない症例である。
味蕾には亜鉛が豊富に含まれており、亜鉛が欠乏すると、味蕾の味細胞の分化が遅延し、味覚受容体の感度の低下につながると考えられている。
偏食、不規則な食習慣、食品添加物(ポリリン酸、フィチン酸、EDTA含有)などが原因となり、亜鉛の吸収を妨げたり、体内の亜鉛が排泄されることによると考えられている。
診断は一般的には、血清亜鉛値は69 μg/dL以下を低値とする。
③ 心因性味覚障害
軽度のうつ病、仮面うつ病、転換ヒステリー、神経症、神経性食欲不振に伴い味覚障害を発症することがある。
このような患者は心療内科等にコンサルティングすることが望ましい。
④ 風味障害(嗅覚障害):
味覚障害を訴えるが、実際は嗅覚障害である症例がある。
味覚機能に異常のない嗅覚・風味障害と味覚・嗅覚の両者の障害が合併することがある。原因として感冒罹患が最多である。
ウイルス感染により嗅覚や味覚を司る神経が障害を受けることによる。感冒罹患後、直ちに味覚障害を自覚した場合にはこの可能性が極めて高い。
⑤ 全身性味覚障害
糖尿病、急性、慢性肝障害、腎不全、甲状腺機能低下、胃・腸切除などの患者で味覚障害が生じやすい。
⑥ 口腔粘膜疾患
カンジダ感染症、舌炎、舌苔、口腔乾燥により、味蕾の萎縮や味物質の味細胞への運搬が障害される。
口腔粘膜疾患の診断特殊な舌炎として鉄欠乏性貧血、Hunter舌炎がある。
⑦ 末梢神経障害
舌・咽頭部の悪性腫瘍手術、中耳や扁桃の手術、外傷、顔面神経麻痺(Bell麻痺、Ramsay Hunt症候群など)に伴い生ずる。
⑧ 中枢神経障害
脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、頭部外傷、多発性硬化症、末梢神経障害などにより生ずる。
⑨ 放射線治療
放射線照射により味細胞障害、神経障害、唾液分泌障害、循環不全が起こる。
放射線照射1~2か月後がピークで、その後1~2年でかなり軽快する。
上記①、②、⑤において亜鉛欠乏が直接的、間接的に関与しており全体の約70%におよぶとされる。