薬物性味覚障害とは? | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

http://www.naoru.com/yakubutumikaku.html
薬物性味覚障害    
drug-induced taste disturbance、drug-induced taste dysfunction

味覚障害とは?
味覚はおもに舌で感じます。
また、軟口蓋、咽頭の一部でも感じます。味覚障害の症状はさまざまで、部位的には舌の一部や片側が、また舌全体が味覚を感じないことがあります。
その程度も濃い味でないと感じないもの(味覚減退)や、全く味を感じないもの(味覚消失)があります。
さらに、本来の味を異なった味に感じること(錯味)もあります。
薬を飲んだことによっておこる薬物性味覚障害では、全体的に味を感じなくなる、あるいは一部の味が低下する症状がよく見られます。原因となる薬には降圧薬、消化性潰瘍治療薬、抗うつ薬、抗菌薬、抗がん薬などがあります。
亜鉛キレート作用(亜鉛の吸収を抑制する作用)のある薬や唾液分泌をおさえる薬に味覚障害が起こりやすいと考えられています。

早期発見と早期対応のポイント

いろいろな薬剤を服用している高齢者では、発症に至る時間や症状も様々で、初期の症状を捉えることは困難なことがあります。
味覚障害がみられる場合、薬を服用した後、多くは2~6週間で症状がでます。「味を感じにくい」、「嫌な味がする」、「食べ物の味が変わった」などの症状がみられたら、医師又は薬剤師に相談して下さい。
「口が乾くあるいは、食事がおいしくなくなった」などの症状も味覚障害の前ぶれかも知れません。
薬物性味覚障害では、発症後できるだけ早期に原因となる薬物を中止または変更した方が、症状の改善が見られることが多いとされています。

1)早期に認められる症状
薬物性味覚障害は高齢者に多く、複数の薬剤を服用しており、また発症までの時間や症状もまちまちで、初期の症状を捉えることは困難なことが多い。
初期症状を含め、よく訴える症状に以下のようなものがある
① 味(甘、塩、酸、苦)が感じにくい
② 食事が美味しくない
③ 食べ物の好みが変わった
④ 金属味や渋味など、嫌な味がする
⑤ 味のしないところがある
⑥ 口が渇く

2)副作用の好発時期
原因となりうる薬剤の服用後、直ぐに発症することもあるが、多くは約2週から6週間以内に味覚障害が起こる。
服用中止後も長期にわたって症状が継続し、緩解するまで数か月を要することもある。

3)患者側のリスク因子
① 性:男女比は2:3の割合で,女性に多いとの報告1)があるが、その理由は不明である。
② 年齢:1980年代の我が国の報告では、味覚障害の好発年齢は50~60歳代にピークがあったが、最近では60歳以降の発症が多く、高齢者に多い疾患であることが認識されつつある2)。
2003年の調査によると、我が国における味覚障害患者は年間24万人といわれ、その数は1990年の年間14万人から約1.8倍に増加している1)。
その理由の一つとして、急激な高齢化社会を迎えていることが挙げられる。
米国の調査4)でも味覚・嗅覚障害患者の約40 %が65歳以上であり、同様の傾向が指摘されている。
③ 誘因となる疾患:精神神経疾患、循環器疾患、高血圧症、胃疾患、肝障害、腎障害、癌などの疾患を有する患者は薬物性味覚障害を生じやすい。
④ 薬剤の種類の数:薬剤の中には味覚障害を直接、あるいは間接的に誘発するものも少なくない。
多数の薬剤を服用している人は、よりリスクが高いといえる。
⑤ 薬剤の服用期間:発症リスクは薬剤の服用期間が長期にわたるほど、服用量が増加するほど高くなる。

4)推定原因医薬品(味覚障害を引き起こす可能性の高い薬剤)
薬物性味覚障害の中で、添付文書に口腔内苦味感が記されている薬剤を表1に示した5)。
その中には催眠鎮静薬、精神神経用薬および循環器官用薬が多い。
味覚障害・味覚異常が報告されており、添付文書に記載されている薬剤を表2に示した5)。
味覚障害を起こす薬剤は多品目あり、口腔内苦味感が記されている薬剤と同様に循環器官用薬、催眠鎮静薬、精神神経用薬が多い。

5)医療関係者の対応のポイント
味覚障害と薬剤との関連を明らかにする。薬剤の副作用欄に味覚障害が明記されている場合や、主訴や既往歴から原因薬剤の可能性が高い場合はその薬剤の休薬を検討する。
早期に休薬することで症状の改善、回復に至ることが多い。原疾患治療のため、休薬が困難な場合は薬剤を変更する。
休薬や薬剤の変更によっても、症状の回復が見られない場合は口腔外科や耳鼻咽喉科など味覚検査可能な専門医を紹介する。