・電磁波過敏症
電磁波過敏症になっているという、そういうやっかいな人たちが出てまいります。やっかいというのは、生活に非常に苦しむ病気という意味です。
化学物質過敏症という、非常に微量な化学物質に反応する方々が、電磁波過敏症にもなることが結構多い。電磁波過敏症から化学物質過敏症になる方もありますが、どちらかと言うと化学物質過敏症から移行する方が多い。
電磁波過敏症の症状は、先程言ったVDT症候群の症状と非常に似ているのですね。
頭痛、顔の刺す感じ、皮膚の灼熱感、発疹など、VDT症候群とほぼ似ていると思います。
ですから、VDT症候群の健康被害を早く感じられる人が電磁波過敏だと私は考えているのですが、問題は「電磁波は怖い」という思い込みだけの方も多少受診に来られますので、その点がちょっと私もどうも手が出ないところがありまして、困っているのですが。
なかなか認めてもらえないのですが、カリフォルニアの電話調査では3.2%が電磁波によるアレルギーや過敏反応を示しているということです。
ストックホルムのは比較的正確な調査だと思うのですが、1.5%の人が電磁波過敏であると。スイスの調査でも5%が電磁波過敏だと言っておりますので、まあ、化学物質過敏症とだいたい同じくらいの人たちが電磁波過敏になっているのではないかと思います。
電磁波と化学物質は、いろいろ似たところがありまして、例えば、電磁波をかけておいて、そして、ベンゼン化合物をやると、遺伝子毒性の発揮が強まる。
お互いに健康の足を引っ張り合う。
パルさんという人が、化学物質過敏症について一つの考え方を出したのですが、電磁波をこれに重ねますと、非常に説明しやすいところがあります。
化学物質過敏症というのは、体内に入った化学物質が解毒されていくのが多少遅れたりしますと、酸化窒素からは過酸化亜硝酸が出来てしまう。過酸化亜硝酸が出来ると活性酸素が出来てきて、また過酸化亜硝酸が出来るという悪循環がどんどん出来るという形になってきます。
そして、過酸化亜硝酸が出来ると、脳の毒物流入が促進される。解毒の遅延も起こるという形になります。電磁波に曝露されると、先程言ったように活性酸素が増える、毒物の脳内流入が増える、NMDA受容器のような神経の過敏反応が起こる。
お互いに足を引っ張り合う。だから、化学物質過敏症の患者さんが電磁波過敏症になるのも、まあわかるかなという気がいたします。
私も電磁波が悪いということにばっかり興味を持っていたのですが、非常に面白く思いましたのが、次です。
電磁波への対策
電磁波対応ルームのヒトへの影響です。いわゆるダーティー・エンバイアロメントと言っていますが、今、私たちの環境は電磁波で非常に汚れていますので、電磁波防護の部屋に入れますと、ADHD(注意欠陥多動性)の子供たちの症状が改善されるということです。
それから、喘息の症状が軽減する。これは当然ですね。ヒスタミンが減りますから。
それから、多発性硬化症という、脳のわけのわからない病気があるのですが、これの震えとか、バランスの感覚も好転してくる。
それから、子どもの行動が非常に活性化してきて、ぐたっとひっくり返っているような子どもが減ってくる。
それから、糖尿病でも、タイプ1という子どもの頃からある糖尿病の場合には、インシュリンの使用量を減量ができる。タイプ2いう大人の糖尿病の場合も、血糖値が低下する。
私たちの電磁波環境は、避けるに避けようがありません。
私たちの病気がどこまでの電磁波の影響を受けているか、わからないです。私たちの体というのは、猿の時代まで進化してきて、それから、猿が人間になってこんなことになってしまったのですけれども、自然環境にはそれなりに適応して自然淘汰されていますので、対応が整っているわけです。
ところが、人間が電磁波や化学物質を使い出してからのこの環境には、私たちの体はまだ対応し切れていませんので、いろいろな症状が出ると思います。それが今のこういう問題ではないかと思います。
化学物質というのはだいたい、悪い作用を持っているものを実験でやりますと、ネズミ1年・人間100年の寿命ですので、ネズミで1年で出る時の症状は100分の1の量にしたほうが人間には安全である。
しかも、その10分の1をとる、つまりネズミで何か症状が出た場合の1000分の1を安全データにするのが一般的には常識なのですが、電磁波に関しましては、およそそういう発想というのは全くありません。
まあ、仕方がないので、ご自分で出来るだけ携帯電話は枕元から離しておいていただくとか、コンセントはこまめに抜いていただくとか、電子レンジのマイクロ波はできるだけ早く逃げていただくとか、こまめにやって、ご自分の健康管理をしていただきたいと思います。
電磁波過敏症の患者さんは、一種の今の社会のカナリアといいますか、その人たちに合わせて暮らせば私たちは健康的な暮らしが送れると思います。まあ、それはなかなかそれは難しいかもしれませんけれども、困った環境に来ているのではないかと思います。
以上で終わらせていただきます。
コーディネーター 経済産業省のワーキンググループ(WG)の中では、しぶしぶ小児白血病だけは言及していますが、今の宮田さんのお話にありましたように、神経系、免疫系、内分泌系などにも全て影響するという説明が、具体的な研究報告も含めてあったのではないかと理解いたします。
runより:貴重な電磁波過敏症の話です。
化学物質過敏症と通ずる物が多いですね。