「農薬を口にする量はなるべく少ないがよい」とみとめない厚生労働省:署名提出報告 | 化学物質過敏症 runのブログ

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予防原則なしに子どもや環境は守れません!~「農薬を口にする量はなるべく少ないがよい」とみとめない厚生労働省:署名提出報告(つづき)
投稿日 - 2015-04-02 11:51 コメントを追加

こんにちは、食と農業問題担当の関根です。

みなさんからの、ネオニコチノイド系農薬の残留基準を緩和しないように求める署名、農林水産省につづき、3月31日に厚生労働省に提出し、要請・交渉をしてきました。

交渉では厚生労働省から驚きの発言が…


交渉は、ネオニコチノイド系農薬中止を求めるネットワーク(略称ネオニコネット)NPOダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、反農薬東京グループ、日本有機農業研究会の方々とグリーンピースの4団体で行いました。

今回は、グリーンピースのヨーロッパ各国でミツバチ保護のキャンペーンを行ってきたグリーンピース・EUチームのリーダー、マティアス・ヴトリッヒも同行しています(写真左から4人め)。

(1)パブコメを生かしてください、との要請に厚生労働省は
私たち4団体は最初に、厚生労働省に2000件ちかく寄せられたパブコメが反映されていない問題を指摘し、パブコメ意見を取り入れ、また今回署名とともに寄せられた意見も反映し、残留基準を緩和しないよう求めました。

厚生労働省答えは、「科学的」な意見を参考にさせていただきました、というもの。

でもこの答えは間違っています。

パブコメは政府が「科学的」な情報を収集するための制度ではなく、「その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的」(電子政府総合窓口HPより)とした制度です。(注1)

このことを強調し、意見を取り入れるよう申し入れました。

このほか、グリーンピースからは、特に以下のような問題点を取り上げました。


(2)ふだんの生活で、私たちは同時にいくつもの種類の農薬(やその他の化学物質)を体に取り込んでしまっています。複合的な影響はどのように考慮しているんですか?
⇒厚生労働省の答えは、複数の化学物質の組み合わせは無数にあって、それらをすべて評価することは困難であり、現段階でそれを行う理由はみあたらない。

そういう手法も確立されていないので、将来、確立されたら実施していく、というもの。

つまり、「いろんな農薬のあわさった影響は調査しきれなくてわからないから、考慮していない」、というのです。

これでは厚生労働省がいうほど「科学的」ではありませんね。

影響が「わからない」ことは「ない」こととは違います。

ここをどうするか、が問題なのです。

そこで、次のようにきいてみました...すると驚愕の答えが。

(3)影響がわからないのなら、農薬の摂取はできるだけ少なくするべきではありませんか?
⇒厚生労働省からは、

「日本の農薬の使用が多いことは承知しているが、「科学的に」得られた情報で残留基準値におさまっていれば安全と考えており、最小化すべきとは特に考えない」

という、信じられない答えが。

これ対して、グリーンピースのマティアス・ヴトリッヒからもヨーロッパの規制の考え方を取り上げながら、予防原則の重要性を説明しました:

「現在の化学物質の毒性評価のほとんどは、一つひとつの化学物質ごとに主に急性毒性について行われています。

一般的な毒性試験では、長期的な毒性の評価については確定的なことは言えませんし、実生活で複合的に化学物質にさらされることによって起こりうる悪影響について必要な情報は得られていません。

欧州の化学物質規制(通称「REACH」)ではこうした、「科学」で知りうる限界と、潜在的に起こりうることとのギャップを埋めるために、予防原則を取り入れています」。

普通に考えたら、農薬の摂取や環境への放出はできるだけ少ない方が良いはずです。

そのために、有機農業や、農薬を半分からゼロまで減らした特別栽培など、環境保全型の農業のガイドラインや認証を国や県が作り、全国で農家さんが取り組んでいるのに(注2)。

厚生労働省、完全にズレています。

最後に次のような質問をしました。

(3)厚生労働省は、不必要な農薬摂取は避けるべきであるという考えに賛成ですか?
⇒厚生労働省は、不必要だということを認めず「必要性があることは農林水産省が把握しているはずです」と答えました。

でも、実際は農林水産省も厚生労働省も必要性を検証も把握もしていないことは、今回交渉に参加した4団体がこれまでに確認済みです。(注3、注4)

権限をもった政府機関が両方とも、「必要かどうか」を検証せずに、農薬の使用範囲を拡大したり残留基準を上げたりしているのです。

このままでは、子どもたちをはじめ消費者は、必要もないのに使われる農薬を口にしつづけることになってしまいます。

■ だから、子どもや環境の安全のために予防原則に立った法規制が必要です!

予防原則は、「因果関係が確立していなくても被害を未然に防ぐために予防的な対策をとる」考え方として知られていますが、予防原則の中には、有害性をもつものを不必要に体に取り込んだり環境に放出したりすべきではない、という考え方も含まれています。

私たちの暮らしには、農薬をはじめたくさんの化学物質がつかわれていて、赤ちゃんのときから、母乳や食べ物などを通して体に取り込んでしまっています。


それらが、健康にどういう影響を与えるのか、どうしたらいいのか、国民の健康を守る厚生労働省にも答えがありません。

だからこそ、科学的に得られる情報の限界と、起こるかもしれない悪影響のギャップを埋めるために、予防原則が重要なのです。

日本でも、というより日本でこそ、予防原則にたった規制の仕組みをつくっていかなければなりません。

グリーンピースは、ネオニコチノイド系農薬からミツバチと子どもの健康を守るルール作りのために「子ども・ミツバチ保護法を求める署名」を実施しています。

あわせて、子どもの給食での有機食材の利用について調査や導入促進など、より有機や無農薬の農業が一般的になっていくよう活動を続けていきます。

▼ 一人でも多くの方の賛同が、社会を変える力になります。ぜひご参加を!


(注1)http://www.e-gov.go.jp/help/public_comment/about_pb.html
今、ご寄付が必要です
今年度の活動を強化していくためには、調査や活動費用として約300万円が必要です。

政府や企業からの支援を受けてない強みによって、今回のように直接、政府へ働きかけることができます。

子どもや、ミツバチをまもる仕組みを作るためにぜひ、ご寄付をお願いいたします。