-5:シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書-第8回~第9回のまとめについて | 化学物質過敏症 runのブログ

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・(別添2)


採取方法と測定方法について

○アセトアルデヒド測定法

 ホルムアルデヒドの標準的測定法を用いて測定する。以下を追補事項として加える。


•標準物質として、アセトアルデヒド2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンを用いる。
•標準原液、標準溶液、検量線作成用標準系列はアセトアルデヒドも同時に混合してよい。
•紫外線吸収検出器の検出波長は 360nm を使用する。
•必要に応じて標準物質とリテンションタイムや吸収スペクトルを確認し、定性、定量を行う。


注) アセトアルデヒドは人体からも発生する可能性があるので、新築住宅の測定法にお いては閉鎖中及び採取時の入室を特に極力制限し、測定開始及び停止時以外に入室し た場合は備考に記載すること。


○フェノブカルブの測定法

 クロルピリホスの暫定測定法を用いて測定する。測定対象物質と測定用質量数は以下の表による。


測定対象物質 測定質量数
フェノブカルブ 121, 150


•標準物質としては残留農薬測定用レベルのフェノブカルブを用いる。
•リテンションタイム、測定質量数を用いて定性、定量を行う。


注) フェノブカルブの測定においては炎光光度検出器(FPD)は使用できないが、精度が保証されているならば検出器としてアルカリ熱イオン化検出器(FTD)あるいは高感度窒素リン検出器(NPD)を用いることも可能である。物質の同定はリテンションタイムによることになるが、検出感度はこちらのほうが高い。この場合内標準物質は窒素を含んだ物質を利用する。



(別添3)


相談マニュアル作成の手引き追補(020122版)について

○相談マニュアル作成の手引き16ページに以下の文章を追加する

(12)アセトアルデヒド

<一般的性質>
 純品は無色の液体で刺激臭があり、薄い溶液では果実様の芳香がある。その臭気の閾値は90μg/m3との報告がある。

分子量は44.1で、常温における蒸気密度は約1.5、蒸気圧は98.6kPaであり、揮発性は高い。

空気より重いが、対流等により拡散した空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になる。

<主な家庭内における用途と推定される発生源>
 アセトアルデヒドはエタノールの酸化により生成され、ヒト及び高等植物における中間代謝物でもあるため、様々な食物やアルコールを含むもの、またヒトそのものも発生源になり得る。

また、喫煙により発生することも知られている。ホルムアルデヒド同様一部の接着剤や防腐剤に使用されている他、写真現像用の薬品としても使用される。

<健康影響>
 いわゆる二日酔いの原因物質の一つとして知られる。蒸気は目、鼻、のどに刺激がある。目に侵入すると結膜炎や目のかすみを起こす。

長期間の直接接触により発赤、皮膚炎を起こすことがある。高濃度蒸気の吸入による中毒症状として、麻酔作用、意識混濁、気管支炎、肺浮腫等があり、初期症状は慢性アルコール中毒に似ている。

<現在の指針値>
 現在の指針値案は、48μg/m3(0.03ppm)で、安全性の観点から影響が認められる可能性がある濃度のうち最も低い濃度を与える実験として、ラットに対する経気道暴露試験に関する知見から、鼻腔嗅覚上皮に影響を及ぼさないと考えられる無毒性量を基に、不確実計数を加味して設定している。

(13)フェノブカルブ

<一般的性質>
 純品は無色の結晶でわずかな芳香臭がある。分子量は207.3で、常温における蒸気密度は約7.1、蒸気圧は1.6mPaであり、揮発性は低い。

蒸気は空気より重く、底部に滞留する性質があると考えられるが、対流等により拡散した空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になる。

<主な家庭内における用途と推定される発生源>
 水稲、野菜などの害虫駆除に用いられるが、家庭内では防蟻剤として用いられている。
 防蟻剤用として特化した製品は、高濃度で揮発しないようマイクロカプセル化されており、土壌に適切に処理された場合、室内への放散は低いものと思われる。

<健康影響>
 カーバーメート系の殺虫剤であり、有機リン系と同様にアセチルコリンエステラーゼを阻害する。ただし、作用機序は異なっており、非可逆的抑制剤である有機リン系と異なりコリンエステラーゼの阻害作用は可逆的である。
 高濃度蒸気や粉塵の吸入による中毒症状として、倦怠感、頭痛、めまい、悪心、嘔吐、腹痛などを起こし、重症の場合は縮瞳、意識混濁等を起こす。皮膚に付着すると、紅斑、浮腫を起こすことがある。

<現在の指針値>
 現在の指針値案は、33μg/m3(3.8ppb)で、安全性の観点から影響が認められる可能性がある濃度のうち最も低い濃度を与える実験として、ラットに対する2年間混餌投与試験に関する無作用量を基に、不確実計数を加味して設定している。

○27ページのSV規格の規格値概要表及び注を以下のように修正


試験項目 紙系壁紙 ビニル壁紙 オレフィン系等壁紙
ホルムアルデヒド(ppm) 0.01以下* 同左 同左

*壁紙100g中のホルムアルデヒド1.2mgが0.01ppmに相当。

○28ページに以下の項を新設

5-2「住宅の品質確保の促進等に関する法律」について

 平成12年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「住宅性能表示制度」は平成12年10月より本格的な運用が始まっている。

この中で、「空気環境に関すること」として、どのような内装材が使用されているかを大まかに区分した上で、これらのうち特定木質建材(JIS・JASでホルムアルデヒドの放散量について等級が定められている木質建材)に関してはホルムアルデヒド放散量の大小を4つの等級で評価し、表示することとしている。(「空気環境に関すること」としてはこの他にも、全般換気対策、局所換気設備について評価・表示基準が定められている。)

これら建材の等級表示や換気対策は、設計段階で住宅を選択するための目安として有効な手段である。
 しかしながら、実際の空気質の状態を知りたいという要望が根強いこと、一部の自主的な測定の評価方法や情報開示のあり方に混乱もあったこと等に配慮して、平成13年8月に基準の改正がなされ、室内空気中の特定測定物質*の濃度等の測定結果についても選択表示事項として表示できることとされた。この制度を選択した際に表示される内容は以下の通りである。


(1) 特定測定物質の名称
(2) 特定測定物質の濃度
(3) 測定器具の名称
(4) 採取を行った年月日、時刻
(5) 内装仕上げ工事の完了日
(6) 採取条件(空気を採取した居室の名称、採取中の室温又は平均の室温、採取中の相対湿度又は平均の相対湿度、採取中の天候及び日照の状況、採取前及び採取中の換気及び冷暖房の実施状況、その他測定濃度に著しい影響を及ぼすもの
(7) 分析したものの氏名又は名称

 なお、この制度に基づいて測定された物質の濃度は「建設住宅性能評価書」に表示されるが、これはあくまでも測定時点の濃度を開示したものであり、その濃度が将来変化しないものであること等を保証もしくは約束したものではないことに留意する必要がある。

*特定測定物質:「住宅性能表示制度」の「選択表示事項」として「空気中の化学物質の濃度等」として表示できる物質。

現在ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの5物質が指定されている。

このうちホルムアルデヒドの濃度については、当制度を利用する際には必ず表示することとされている。

他の4物質については測定の対象として申請されたものの濃度を表示する。