・厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/02/h0208-3.html
平成14年2月8日
シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書-第8回~第9回のまとめについて
平成14年1月22日、第9回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会(座長:林 裕造 元国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター長)が開催され、別紙の通り、中間報告書-第8回~第9回のまとめが、とりまとめられた。
当中間報告書は以下の内容を含む。
中間報告書の主な内容
1.個別の揮発性有機化合物(VOC)の指針値等について
(1)室内濃度に関する指針値の概要
(2)個別物質の室内濃度指針値等
2.採取方法と測定方法について
3.測定マニュアル相談マニュアル作成の手引きの改訂について
照会先
厚生労働省医薬局審査管理課
化学物質安全対策室
室長 山本 徹(内2421)
担当 吉田 淳(内2423)
平野 英之(内2427)
電話 03-5253-1111
シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会
中間報告書その4-第8回及び第9回のまとめ
平成14年1月22日
1. 個別の揮発性有機化合物(VOC)の指針値等について
今般、室内空気汚染に係るガイドラインとして、新たにアセトアルデヒド及びフェノブカルブの室内濃度指針値に係る検討結果をとりまとめたので、下記に概要を示す。
(1) 室内濃度に関する指針値の概要
本検討会では、室内空気中に存在する化学物質は全て多かれ少なかれヒトに何らかの影響を及ぼす可能性があるため、公衆衛生の観点から化学物質の不必要な暴露を低減させるため、個別物質について対策の基準となる客観的な評価を行ってきている。
ここで示した指針値は、現時点で入手可能な毒性に係る科学的知見から、ヒトがその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても、健康への有害な影響は受けないであろうと判断される値を算出したものであり、その設定の趣旨はこの値までは良いとするのではなく、指針値以下がより望ましいということである。
現状では、居住者にアレルギー、中毒、未だ発生の仕組みがわからない症状を含めた様々な体調不良が生じ、それがなんらかの居住環境に由来するのではないかと推測される場合が「シックハウス症候群」と便宜的に総称されているので、多くの場合、現状の研究では指針値が策定された物質と体調不良との間に明確な対応関係は証明されていない*。
今後の研究、調査が必要とされるが、これらが明確になる前であっても、現時点で入手可能な毒性に係わる知見からこれらの物質の指針値を定め、指針値を満足するような建材等の使用、住宅や建物の提供並びにそのような住まい方を普及啓発することで、多くの人たちが健康悪化を来たさないようにすることができるはずである。
なお、指針値は、今後集積される新たな知見や、それらに基づく国際的な評価作業の進捗に伴い、将来必要があれば変更され得るものである。指針値の適用範囲については、特殊な発生源がない限り全ての室内空間が対象となる。
一方、指針値設定はその物質が「いかなる条件においてもヒトに有害な影響を与える」ことを意味するのではない、という点について、一般消費者をはじめ、関係業界、建物の管理者等の当時者には、正しく理解いただきたい。客観的な評価に基づく室内濃度指針値を定めることは、化学物質が健康影響の危惧を起こすことがないように安全かつ適正に使用され、化学物質が本来もっている有益性が最大限生かされることに大きく貢献するはずだからである。
指針値を策定する際、どの物質を選定するかについては、本検討会中間報告書-第1回~第3回のまとめ(平成12年6月)の指針値策定の今後の方針で記載の通り、対象物質を選定する際に考慮すべき6つの事項に従っている。次回以降も、首尾一貫性をもった方針で、順次、個別の化学物質について指針値策定を進めていくこととする。
また、今後の検討課題として、生活環境全体に共通して存在する化学物質については、暴露経路全体から見た総量的な考え方が重要であり、暴露経路のひとつとして室内空気質の指針を定めることは、この総量的な暴露対策の推進に大きく貢献すると思われる。
* 中間報告書第1回~第3回のまとめ(2000年6月)では、シックハウス症候群について、次の説明をしている:「住宅の高気密化や化学物質を放散する建材・内装材の使用等により、新築/改築後の住宅やビルにおいて、化学物質による室内空気汚染等により、居住者の様々な体調不良が生じている状態が、数多く報告されている。症状が多様で、症状発生の仕組みをはじめ、未解明な部分が多く、また様々な複合要因が考えられることから、シックハウス症候群と呼ばれる。」