口演16
化学物質アレルギー・その他アレルギー
座長:岡田千春1), 足立厚子2)(国立病院機構本部医療部1), 兵庫県立加古川医療センター皮膚科2))
O16-2.化学物質過敏症患者の難治化要因
水城まさみ, 山田博之
国立病院機構盛岡病院呼吸器・アレルギー科
【目的】化学物質過敏症(CS)は重症化してくると,日常的に接するありふれた種々の化学物質曝露に過敏に反応して,多臓器の症状を呈してくるため日常生活に著しい制限が生じてくる疾患である.
最近では環境整備などの生活指導や薬物療法,酸素吸入療法などにより改善例もみられようになってきたが,未だになかなか改善が得られない難治例が存在する.
本研究では難治例の背景因子,臨床像,経過を改善例と比較検討することにより,難治化要因を明らかにする.
【方法】当院の化学物質過敏症外来を受診した210名のうち長期観察ができている45名の中で,QEESIスコアの推移,患者本人および担当医による改善度スコアによって不変,増悪した15名を難治例として,その他を改善例として比較検討した.
【結果】難治例は改善例と比較して受診までの化学物質の曝露期間がより長く,発症後に環境改善等の化学物質曝露の回避ができていない者が多かった.
さらに職場などで高濃度の化学物質曝露を受けて中毒症状をきたしたエピソードを有する者が多かった.
【結論】難治例は化学物質の関与が改善例に比較してより濃厚であることが判明した.CSの難治化の予防には,適切な早期診断および多方面に亘る早期介入が重要である.
第61回日本アレルギー学会秋季学術大会 2011年11月開催