・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
http://kokumin-kaigi.org/
・住友化学の環境ホルモン農薬「プロシミドン」に気をつけよう
事務局・ジャーナリスト 植田 武智
新生児の生殖器異常が上昇
日本では下火になっている環境ホルモン問題だが、世界的には再度大きな動きが出てきている。
85号のニュースレターで紹介された世界保健機関(WHO)の報告書「内分泌かく乱化学物質の科学の現状2012年度版」によれば、世界各国で新生児の男の子の間に、生殖器の異常が増えてきているのだという。
上のグラフは、デンマークの調査結果だ。
1977年から2005年まで
28年間に生まれた男の子92万人への調査で、尿道下裂(先天的な陰
茎の形態異常)の発生率が増加している。
その原因の一つとして挙げられているのが農薬だ。
2008年に発表されたデンマークの同じ調査では、農薬にさらされやすいハウス栽培の女性労働者は、首都のコペンハーゲンの女性に比べて尿道下裂の男児を産む割合が3.2倍多かった。
これらの研究では農薬名までは特定されていないが、男性ホルモン「アンドロゲン」の働きを阻害する農薬の関与が強く疑われている。
人間の場合、胎児の生殖器が形成されるのは妊娠7週目から40週目とされている。
その時期に適切に男性ホルモンが働くことで、男の子の生殖器がきちんと形成される。
その時期に男性ホルモンの働きを阻害する農薬にさらされた場合、生殖器がきちんと形成されずに生まれる可能性がでてくる。
生殖器に異常があっても、ある程度であれば外科手術で治療することが可能だ。
しかしWHOの報告書によれば、成人後の精液の品質低下や妊娠率の低下、精巣がんのリスク増大の原因となるのだという。