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実録コミック:「かびんのつま」に理解を 夫が描く

毎日新聞 2014年05月17日 13時37分


 兵庫県多可町の漫画家、あきやまひできさん(51)=本名・秋山英紀=が化学物質過敏症に苦しむ妻を描いた実録コミック「かびんのつま」(小学館)の単行本第1巻が4月末、刊行された。

妻の療養のため、28年間暮らした東京から3年前に多可町に移り住み、約80種類の野菜を無農薬で栽培する。

作品には「この病気を広く知ってもらいたい」との思いが込められている。


 「日光に当たると目や顔が痛い」。

2003年に結婚したかおりさんに異変が起きたのは、新婚旅行から戻った直後。

電磁波や熱でも痛みが出た。

外出時は首から上を消防用帽子ですっぽり覆い、電子レンジ使用中は2階に避難するなどのエピソードが漫画に描かれている。

 シャンプーや洗剤、車の排ガスなどでも苦しみ、症状は次第に悪化。

東京で推理漫画などを描いていたあきやまさんは11年、清浄な空気と水を求め、多可町で農家をしている実家への移住を決断した。

前年秋にかおりさんが街中で、重度の呼吸困難に見舞われたのが契機だった。

 移住後、かおりさんは電気や日光を遮断した部屋で生活。

化学物質にさらされる機会が減り、あきやまさん自ら栽培する無農薬野菜を食べるうち、頭巾をかぶって大阪や神戸に出かけるまで症状が緩和した。

その過程は今後、描かれる予定だ。

 「かびんのつま」は漫画雑誌「ビッグコミックスペリオール」で昨年2月に始まった。

連載は日記を欠かさず付けるかおりさんとの共同作業でもある。かおりさんは「今は病気で社会に出られない。

漫画が世に出ることで私も生き、社会に出ているつもり。読んでもらうことが人と関わることなんだろうと思う」と話す。

あきやまさんは「誰が発症してもおかしくない病気。

もう少し、体に優しい世の中になってほしい」と願う。

 30日まで、多可町の八千代コミュニティプラザで原画作品展が開かれている。【姜弘修】

 ◇化学物質過敏症

 身の回りのさまざまな微量の化学物質によって目や呼吸器、神経などに異常が出る現代病。

反応する物質や症状には個人差があり、重症者はほとんど外出できず、山中でのテント暮らしを余儀なくされるケースもある。

2009年10月には厚生労働省がカルテなどで使う病名リストに登録した。

国立公衆衛生院(現・国立保健医療科学院)の00年の調査によると、患者は成人だけで推計約70万人。

ただ、精神疾患や原因不明と診断された潜在患者が多数いると考えられている。