・出典:NPO法人 神奈川労災職業病センター
http://koshc.org/?page_id=15
・2014/10/28
花王:化学物質過敏症労災裁判
Oさん(花王)化学物質過敏症労災裁判
Oさんは、有機溶剤中毒後遺症だ
前回、裁判所の指示で争点整理に入り、2月5日はその準備手続きが行われた。
当日、花王の安全配慮義務違反の態様を詳述した原告側準備書面をめぐり、裁判長と次のようなやりとりがあった。
裁判所 この準備書面のこれこれの因果関係から何年何月の時点でこれこれの作為義務が生じていたので、それを怠ったためにこういう補償が必要というように整理されれば・・・。
原告側 その時点ごとの安全配慮義務違反と因果関係は立証しているはずですが。
裁判所 それが全部認められてということを前提に主張されているのであれば、それはそれで成り立つとは思うのですが。
原告側 では、裁判所として、どこをどういうふうに判断せよということですか。
裁判所 全体を包括的にということです。この時点で、つまり直近の細かい点は被告の反論も含んでいますが、原告の主張の概略を明確にしていただきたい。準備書面を引用しながら主張していただければ。
原告側 中身によってはかなりの時間が必要になります。
裁判所 健康被害の拡大自体を問題にしていないとすれば段階を整理されれば大筋ははっきりしてくる。
原告側 それは、被告の予見可能性との関係でということですか。
裁判所 被告の予見可能性は、原告の症状発生以前と健康被害拡大の時期とは当然違ってきます。
また、被告の個人的な体質の問題もありますから、他の人が同じ作業をしていた場合、そうなった場合とそうならなかった場合があり、被告の責任の事実関係をどこまで遡及できるかという問題があると思います。
このやりとりからは争点をめぐって双方にかなり見解の相違があるように思えるが、裁判所が化学物質過敏症を労働法の枠内にある職業性疾病とは見ておらず、シックハウス症候群に近い症状と見ていると考えると、裁判所の言わんとしていることが分かると思う。
Oさんの化学物質過敏症はシックハウス症候群ではなく、有機溶剤中毒後遺症である。
厚生労働省の助成研究報告書はシックハウス症候群を4つの病型(化学物質による中毒によるもの、中毒ではないが曝露の可能性が大きいもの、化学物質の曝露は考えにくいもの、アレルギー疾患に起因するもの)に分類し、うち1つを化学物質中毒の後遺症によるものと認めている(相澤好治、坂部貢、石川哲ら「シックハウス症候群の臨床分類」 平成16年度構成労働科学研究費補助金分担研究報告書)。
裁判所は、この病型分類に従って、Oさんの化学物質過敏症を化学物質中毒の後遺症と認め、有機溶剤中毒の急性症状が出現した時期に遡って、花王の安全配慮義務違反と予見可能性を確定させる方向に訴訟指揮を発揮していくべきだろう。【西田】
次回は4月16日午前10時~、東京地裁13階の民事42部弁論準備手続室で行われる予定。
runより:裁判所の認識がヤバイ雰囲気ですね。
昔個人の体質として敗訴した事もあったのですが近年は違う判決が多い。
シックハウス症候群と化学物質過敏症は似て異なる疾患なので裁判所はその事をよく理解すべきだ。
そもそもシックハウス症候群ならもう治ってますよ(´・ω・`)