新たに除草剤耐性を変えたトウモロコシと大豆が承認を得る | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html

・NYT 2014年9月17日
新たに除草剤耐性を変えたトウモロコシと大豆が承認を得る

情報源:New York Times September 17, 2014
Altered to Withstand Herbicide, Corn and Soybeans Gain Approval
By ANDREW POLLACK
http://www.nytimes.com/2014/09/18/business/
altered-to-withstand-herbicide-corn-and-soybeans-gain-approval.html?_r=1

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
掲載日:2014年9月22日



 水曜日(2014年9月17日)連邦規制ウェブサイトに掲載された文書によれば、農務省は、 2,4-D という名前で知られる除草剤を散布されても生き残るよう遺伝子組み換えされたトウモロコシと大豆の商業的な栽培を承認した。

 トウモロコシと大豆の栽培者らのある者らは、通常選択される除草剤、グリホサートとして一般的に知られているラウンドアップではもはや枯らすことができない雑草が急速に拡大していることへの対策として、新たな手段が非常に必要とされているとして、新しい作物の承認を強く求めていた。

 批評家らは、ダウ・アグロサイエンスにより開発されたこの作物を栽培することは、ラウンドアップより、環境、周囲の非組み換え作物、そしておそらく人の健康にもっとダメージを与えるであろう化学物質、2,4-D の散布の急速な増大を意味すると述べている。

   ”この承認によって、数百万ポンド(数千トン)以上の有害除草剤が我々の土地に降りかかり、それは到底許すことのできない結果である”と、ワシントンを拠点とする政策提言団体である食品安全センター(Center for Food Safety)のディレクターのアンドリュー・キンブレルはその声明の中で述べた。


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批評家は遺伝子組み換え作物は除草剤の使用を増やすと言う。

Credit Nati Harnik/Associated Press
 彼は、同センターは、遺伝子組み換え作物に関連する他の裁定を得ていたので、この決定を覆すことを試みるために、訴訟を起こすかも知れないとほのめかした。

 環境保護庁(EPA)は、この作物とともに使用されることが予想される 2,4-D の新たな処方を今まで通り承認するに違いない。

 ダウ・ケミカルの一部門であるダウ・アグロサイエンスは、早晩全てが承認されて、エンリスト雑草管理システム(Enlist weed control system)と呼ぶものを翌年の作付のために販売を開始することを期待していると述べていた。

 農務省はその環境分析の中で、これらの作物の承認は、2020年までに米国内で200%から600%の 2,4-D の使用増大をもたらすであろうと予測した。しかし、同省は、その増大使用の影響の分析は環境保護庁の仕事であると述べた。

農務省は、その承認は主にその穀物が他の植物に危害を及ぼすかどうかによったと述べた。

 化学物質 2,4-D は、様々な健康問題に関連しているベトナム戦争で使用された枯葉剤エージェント・オレンジのひとつの成分であった。

しかし専門家らは、その健康影響はエージェント・オレンジ中の他の成分により主に引き起こされたと言う。

 環境保護庁は、健康と安全の根拠に基づき、市場から 2,4-D を排除することを断ってきた。

この化学物質は、アメリカではグリホサー及びアトラジンに続いて3番目に広く使用されている除草剤であり、それはまた多くの家庭の芝生手入れ用品の中で使用されている。

 ラウンドアップ・レディ作物として知られるグリホサート耐性作物は現在、アメリカで栽培されているトウモロコシと大豆の大部分を占めている。

それは農民にとって雑草を管理するのに容易であるという理由のためである。

農民は単純にグリホサートを彼らの畑に散布し、雑草を枯らせる一方で、遺伝子組み換え作物はそのまま残す。

 しかし、農民がグリホサートに大きく依存することはとても容易なので、多くの種類の雑草が耐性を獲得するのを許すことになる。ダウによれば、グリホサートでは容易に枯らすことのできない雑草が、現在、アメリカの畑の約 7,000 万エーカー(約 280,000 平方キロメートル)を荒らしており、それは2009年の面積の2倍である。

 農民は異なる化学物質を使用するか、グリホサートをもっと大量に使用するか、又は彼らの畑をもっと耕して土壌の分解を促進することに頼らざるを得なくなっている。

ある農民らは、昔ながらに手で雑草を引き抜かざるを得なかった。

 新たな作物もまたグリホサートに耐性があるであろうが、新たな 2,4-D 耐性作物はひとつの解決であろう。

農民は 2,4-D とグリホサートの混合物を散布することで、もはやグリホサート単独では枯れない雑草を枯らすことができるであろう。

 ”我々は、雑草の問題に対応するために、最新の科学と技術を利用してきた”と、ダウ・アグロサイエンスの社長ティム・ハッシンガーは、水曜日(9月17日)の声明の中で述べた。”エンリスト(Enlist)は、非常に効果的な解決策であり、我々はこの技術を農場の門に一歩近づけたことを喜んでいる”。

 ラウンドアップ作物を開発したモンサントは現在、ジカンバ(Dicamba)と呼ばれる異なる除草剤に耐性を持つ作物の承認を待っている。

しかし批評家らは、雑草が 2,4-D はもとよりジカンバにも耐性を持つのは先の長いことではないと述べている。

 2,4-D とジカンバは両方ともにドリフト又は蒸発する傾向を持ち、近隣の農場に拡散し、それらの化学物質に耐性を持つよう遺伝子組み換えされていない作物に害を及ぼす。

 我々の作物を守れ連合(Save Our Crops Coalition)と名乗る中西部の果物と野菜の栽培者及び缶詰業者のグループは、当初ダウのトウモロコシと大豆の承認に反対していた。

 しかし、同グループは、ダウがドリフトのリスクを削減する措置をとると約束した後、反対の立場を変えた。

トウモロコシと大豆を栽培する農民は、EPA が現在評価中のその新たな除草剤を使用すると約束しなくてはならないであろう。

エンリスト・デュオ(Enlist Duo)と呼ばれるこの製品は、グリホサートとドリフトと揮発を最小にする 2,4-D の新たな処方の混合物である。

 農民らはまた、この化学物質をどのようにそしていつ散布することができるかに関する他の制限にも同意しなくてはならないであろう。

 ダウは当初、トウモロコシを2013年までに市場に出せるよう承認を得ることを期待していた。

しかし、農務省は、承認を遅らせても、包括性が劣る環境評価ではなく、完全な環境影響の記述を書くことに決定した。

 同省は、3月に締め切られた60日間のパブリックコメントの期間中に、環境影響記述の草案に1万通以上のコメント提出を受けた。

もっと最近同省は、承認に反対する24万人以上の署名による請願書(訳注1)を受け取ったと述べた。


訳注1
 米国有機消費者協会(OCA)2014年 米農務省に新たな遺伝子組み換え”エージェント・オレンジ”作物を承認するなと伝えよう!