Q 肺気腫の診断はどのようにするのでしょうか?
A 胸部画像(エックス線写真・胸部CT等)とスパイロメトリー(肺機能検査)により診断します。
簡易的には市販されています ピークフローメーターでも充分可能です。
肺気腫は呼気時の最初の流出量の低下が特徴的ですので1リットル以下の時は医療機関でスパイロメーターの検査を受けられるとよいでしょう。
スパイロメーターでは、呼気の初めの一秒間に呼出されるガス量を一秒量(FEV1.0)と呼び、肺気腫においては気道の虚脱性が増しているため一秒量は著名に減少します。
また学会基準では一秒量を努力肺活量(FVC)で除した一秒率(FEV1.0%)により、COPDの重症度基準としています。
例えば70%以下がCOPDの疑いとなります。
図2.ピークフロー値(朝)の推移 ―変化量―
解析対象:慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)患者43例。
方 法:セレベント(エアゾール剤)1回50μg・1日2回を4週間吸入投与。
Q COPDは治るのでしょうか?
A すでに形成された気腫性病変自体を修復する方法はありません。
COPDの治療は気腫性病変の進行を最小限にとどめ、残された気道閉塞の可逆性の部分をいかに改善させるかが課題となります。
薬物療法においては気管支拡張剤、去痰剤による従来の方法に加えて近年β2刺激薬としてセレベント吸入剤が肺気腫用に認可され臨床効果が期待されています。
また消炎作用としてのフルタイド吸入ステロイド剤も有力な治療剤となり今後治療への貢献が期待されます。
また忘れてならないのは栄養問題です、COPDが進行しますと、呼吸障害より食欲不振となり、やせていき、高齢者ではよく寝たきりとなってしまいます。
その人にあった食事栄養管理が重要で、更に少量の酸素吸入補助療法(在宅酸素)が必要ともなります。
また更に重圧化しますと人口呼吸器管理が必要となりますが、近年非侵襲的陽圧換気法(NIPPV)が普及しはじめ気管内挿管法による従来の人工呼吸器管理外の治療と、選択肢が増えてきております。
いずれにしても治療は根気よく、長期に病初期より始められることが肝要です。