Q4.
化学物質審査規制法
A:
正式名称は「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」といい、
PCB(ポリ塩化ビフェニル)による環境汚染問題を契機として1973年に制定され、その後1986年と2003年に大幅な法改正が行われた。
新たに製造・輸入される化学物質について難分解性、生物濃縮性(蓄積性)、人や動植物への有害性を事前審査するとともに、環境を経由して人の健康または動植物の生息・生育に影響を及ぼすおそれがある化学物質の製造、輸入及び使用を規制する仕組みが定められている。
法律の所管は、厚生労働省・経済産業省・環境省。
本法では、難分解性、生物濃縮性、かつ人または高次捕食動物に有害と判断されたものを第一種特定化学物質に指定し、その製造・輸入は許可制としている。
これは、実質的に製造・輸入の禁止と同様の効果を持つ。
また、難分解性で、人または動植物に有害と判断されたものは第二種特定化学物質に指定され、製造・輸入量の届出、環境汚染防止のための措置、表示などの義務が課される。
さらに、第一種特定化学物質に該当する疑いのあるものは第一種監視化学物質、また第二種特定化学物質に該当する疑いのあるもので人への有害性に係るものは第二種監視化学物質、動植物への有害性に係るものは第三種監視化学物質に指定し、製造・輸入量の届出などが義務づけられる。
2005年3月時点で、PCBなど13物質が第一種特定化学物質、
トリクロロエチレンなど23物質が第二種特定化学物質、
また酸化水銀(II)など22物質が第一種監視化学物質、
クロロホルムなど839物質が第二種監視化学物質としてそれぞれ指定されているほか(第三種監視化学物質は指定なし)、年間300件程度の新規化学物質に係る審査がされるなど、人や動植物に有害な化学物質について環境汚染の防止が図られている。
難分解性とは
環境中において化学物質が生物的または非生物的に容易に分解されないこと、またはその性質。
環境中に放出された難分解性の化学物質は分解されずに環境中に残留し、人の健康や生物に影響を及ぼす場合がある。
難分解性の化学物質の代表がDDT、PCB、ダイオキシンなどである。
生物濃縮性(蓄積性)とは
生物が、外界から取り込んだ物質を環境中におけるよりも高い濃度に生体内に蓄積する現象を生物濃縮という。
生体内蓄積とも言われる。
特に生物が生活にそれほど必要でない元素・物質の濃縮は生態学的にみて異常であり環境問題となる。
動物には餌にするものと餌にされるものがありこれを食物連鎖というが、蓄積性のある物質が食物連鎖により生物濃縮を起こす。
例えば、海産の藻類では臭素、ヨウ素、クロムなどを濃縮することが知られているほか、
DDT、PCB、ダイオキシンなどの化学物質も高濃度の濃縮が起こる。
食物連鎖を通じて蓄積性の化学物質の生物濃縮が進む場合には、食物連鎖の高次に位置する生物でより高濃度(自然状態の数千倍から数万倍)に濃縮され、その生物に影響を及ぼす。
水産資源生物などの摂取により生体に悪影響を与え、公害病の原因となることがある。
具体例として有機水銀による水俣病などがある。
Q5.
ダイオキシン類対策特別措置法
A:
ダイオキシン類による環境の汚染の防止及びその除去等を図るため、
ダイオキシン類に関する施策の基本となる
耐容一日摂取量(TDI)及び環境基準の設定とともに、
大気及び水への排出規制、汚染土壌に係る措置等を定めた法律(1999年法律第105号)。
環境省所管。
ダイオキシン類が、人の健康や生命に重大な影響を与えるおそれがある物質であると社会的に問題化したことを受けて制定されたもの。
なお、同法における「ダイオキシン類」とは、
ポリ塩化ジベンゾフラン、
ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン、
コプラナーポリ塩化ビフェニル
の3種類である。
ダイオキシンの耐容一日摂取量(TDI)について(概要)
(環境庁中央環境審議会環境保健部会、厚生省生活環境審議会、