「食品に含まれるカドミウム」に関するQ&A-4 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

<4.環境省調査結果への対応>


Q12 平成22年3月に新たに公表された環境省の調査結果によれば、カドミウム濃度の高い畑作物が確認されていますが、厚生労働省は、この結果を踏まえて畑作物に関する基準を設定するなど、再審議をしないのですか。


A)

環境省の調査は、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律に基づく対策地域の指定要件を検討することを目的として、畑作物と土壌中のカドミウム濃度の相関関係を調べるため、土壌中のカドミウム濃度が高めの地域も含めて実施されたものですが、調査した畑作物の点数や地域に限りがあります。

薬事・食品衛生審議会における食品中のカドミウムに関する審議は、食品安全委員会の食品健康影響評価を踏まえて行われたものです。

同評価では、農林水産省が実施した全国規模の調査結果をもとにカドミウム濃度が比較的高い農作物の流通も想定して推計された日本人のカドミウム摂取量分布も含めて評価されています。

審議会においては、食品安全委員会の食品健康影響評価を踏まえ、各食品群のカドミウム摂取量の寄与率、国際基準のある作物に基準を設定した場合のカドミウム摂取量低減効果の推計等も勘案して、以下の結論が得られました。

(1) 米中のカドミウムの規格基準を改正(1.0ppm→0.4ppm)すること
(2) 消費者に対し、バランスのよい食生活を心がけることの重要性について情報提供を行うこと
(3) 米をはじめその他の農作物について、低減対策を推進するよう関係者に要請すること
(4) 農水産物中のカドミウムの実態把握に努めるよう関係者に要請すること

今般公表された環境省の調査結果については、平成22年5月18日に開催された食品規格部会において報告し、仮にこの調査結果を含めたとしても、以上の審議会での審議の結論に影響を与えることはないことを確認いただきました。



Q13 新たに公表された環境省の調査結果によれば、カドミウム濃度の高い野菜があるようですが、野菜を食べても大丈夫でしょうか。


A)

Q3及びQ5のとおり、食品安全委員会の食品健康影響評価によれば、我が国での市場流通食品の分析結果をもとに算定したカドミウムの一日摂取量は2.8 μ g/kg体重/週であり、耐容週間摂取量の7 μ g/kg体重/週を十分下回っていることから、一般的な日本人における食品からのカドミウム摂取が健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられるとされています。

また、同委員会では、比較的カドミウム濃度が高い農作物が流通することも想定し推計された日本人のカドミウム摂取量分布についても、以下のとおり評価しており、審議会における議論では、カドミウム摂取量が多いと推定される人でも、健康に悪影響を及ぼさない摂取量を十分に下回っているとされています。

-食品安全委員会汚染物質評価書 カドミウム(第2版)より抜粋-

独立行政法人国立環境研究所(2004)は、平成7年から平成12年までの6年間の国民栄養調査による摂取量データと農林水産省の実態調査による食品別カドミウム濃度データから確率論的曝露評価手法(モンテカルロシミュレーション)を適用し、日本人のカドミウム摂取量分布*の推計を行っている。

この結果、現状の0.4ppm以上の米を流通させない場合におけるカドミウム摂取量は、算術平均値3.44μg/kg体重/週、中央値2.92μg/kg体重/週、95パーセンタイルで7.18μg/kg体重/週であると報告されている。

<日本人のカドミウム摂取量の分布>


* この摂取量分布は、計算上のものであり、分布図の右側部分は、統計学的に非常に誤差が大きく、非常に確率が低い場合も考慮されている領域である。したがって、実際にはPTWI(Provisional Tolerable Weekly Intake, 暫定耐容週間摂取量)を超える人は、ほとんどいないと考えるのが妥当である。

日本人が食品を通じて摂取するカドミウムのうち野菜各品目から摂取する量の割合は、主要な摂取源である米に比べて低い上、我が国の農作物の流通・販売や食生活の現状からは、カドミウム濃度の高い野菜を毎日大量に、長期間にわたって摂取する可能性は低いと考えられますが、食生活を通じて健康な毎日を過ごすためにも、同じ食品を毎日たくさん食べ続ける偏食などに注意し、バランスの良い食生活を心がけましょう。