6. 疑わしいのになぜ使い続けるの?
安全が確認されていない?
現在使われている化学物質の中には発ガン性をはじめとして健康に深刻な影響を及ぼすおそれのあるものが多く存在します。
有害性が強く疑われても科学的に因果関係が証明されない限り、法的な措置がとられません。
その結果、被害が拡大し、取り返しのつかない結果を招いた事例が何度も繰り返されています。
科学的に不確であっても、適切な予防的措置を求める「予防原則」が今、国際的に提唱されています。
しかし、日本では行政、産業界などの抵抗が強く、いまだ化学物質政策に明確に位置付けられていません。
7. もっと安全で健康な社会へ
進歩の代償にしないために
科学・技術の進展、産業・ライフスタイルの変化などに伴い、私たちと化学物質の関係は急速に変化しています。
日本の化学物質政策の中核はおよそ35年もの昔に作られた法律が担っていますが、もはやその場しのぎの改正では直面する問題に対応しきれないところにきています。
今こそ、予防原則を基盤として知る権利(情報公開)や市民参加を取り入れた、新たな化学物質規制をゼロから作り直すべきです。
すでに欧州ではそのような革新的な法規制「REACH」(リーチ)が成立しています。
8. 地球を丸ごとデトックス
有害化学物質を無くしてゆこう!
化学物質には国境がなく、さまざまなルートで化学物質は行き来し、人の手で完全にコントロールすることは不可能です。
最終的には地球全体で有害化学物質を廃絶するしかありません。
実は、そのような壮大な国際的取組がすでに始まっているのです。
それは「国際化学物質管理戦略」(SAICM、サイカム)と呼ばれ、「2020年までに化学物質による人の健康や環境への悪影響を最小化」するというゴールに向け、基本的方針や具体的な行動計画などが2006年に取りまとめられました。
それを受け各国は「SAICM国内行動計画」を市民を含む全ての関係者参加のもとで策定することになっています。
さて、日本ではどうなっているのでしょうか?
9. まずは知ることからはじめよう
私たちにできることは?
化学物質の知識がなくても、私たち市民にもできることはたくさんあります。
知る
商品中に含まれ、あるいは身近な環境中に排出される有害化学物質についての情報を、私たちには知る権利があります。
行政や事業者に情報公開と市民にもわかる説明を求めることが大切。
行動
正確な情報に基づき、自分や家族あるいは地域を守る行動を。
その極意は、「安全性が不確かなものは、使わず、近寄らず、もっと減らして、撒き散らさず」(詳しくは「我が家の化学物質予防原則のすすめ」へ)
参加
個人の取組には限界があり、国の政策にも目を向けよう。行政や専門家だけに任せず、声をあげ、意思決定への参加を求めよう。
もちろんNGO 等の支援を通じた参加もありです。
今日の私たち一人一人の行動が、未来世代の安全と健康を決定づけることを忘れてはなりません。
我が家の化学物質予防原則のすすめ
化学物質による人の健康や環境への有害な影響を未然に防ぐには、国の化学物質政策の基盤に「予防原則」(*)が位置付けられることが重要です。
しかし産業界などの抵抗も強く、その道筋はいまだ見えません。
とはいえ日々化学物質に囲まれ生活している私たちは、何もせずただ待つわけにはゆきません。
そこで以下のような「我が家の予防原則」を定め、少しでも化学物質によるリスクを減らせるライフスタイルへの転換をおすすめします。