・出典:化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
・グランジャン博士のウェブサイト
Chemical Brain Drain - News 2014年8月13日
遺伝する脳
情報源:Chemical Brain Drain Website - News
Inherited brains, 13 August 2014
http://braindrain.dk/2014/08/inherited-brains/
訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
掲載日:2014年8月29日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/Inherited_brains.html
【2014年8月13日】新たな証拠が、脳機能のための遺伝子の重要な役割を裏書している。
大きな調査が最近、知能の変動の約半分は遺伝によるものであり得ると結論付けた。
現在、もう一つの大規模な調査が、遺伝はまた、12歳の子どもの読解能力と数学能力との間の高い相関関係の約半分を説明することができることを示している。
このことは、いわゆる Generalist Genes (多方面の能力を伸ばす遺伝子)が共同して機能的能力の約半分を決定するということを意味する。
読解及び数学の知的障害(失読症及び計算障害)はしばしば一緒に起こり、もしそれらが完全に独立した条件なら、予想される同時発生率より頻繁に起きるので、この発見は非常にもっともらしい。
したがって、両親から受け継いだ遺伝子は、かなりの程度、特に共有する環境が事実上同じ時に、兄弟姉妹間の知能における類似性及び相違の両方の原因である。
理想的な環境の下に、脳の発達が最適に近ければ、機能レベルの相違は、本来、遺伝子に由来する。
遺伝子とその他の要素の間の複雑な相互作用は、まだ十分に理解されていない。
1個の遺伝子のよく知られた影響には、色覚、そばかす、割れあご、えくぼ、巻き舌の能力のような特徴がある。
しかし、非常に多くの遺伝子が脳の発達に関わっており、それらの多くは、明らかに複数の機能を持っている。
すなわち、それらは、例えば知能と身長の両方に影響を与えることにより多面的である。
受け継いだ脳の機能はについての我々の理解は、将来を予知するためには不完全である。
さらに複雑なことは、多くの遺伝子は環境的要素と相互作用するらしいことであり、刺激が遺伝子発現に役立つかもしれず、一方、毒性はそれを抑制するかもしれない。
この新たな研究の著者らは、”12歳の子どもの認識能力における相違に寄与する学習環境の潜在的な役割を強調”している。
しかし、これはもちろん問題の一面だけである。遺伝的に制御された脳の発達を最適化するために、我々はまた、化学的脳汚染を含んで、有害影響を防がなくてはならない。
訳注:関連記事
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