●出生前に汚染物質をあびると、子どもの脳
の特定部位が活性化する
最近の脳の画像診断技術の進展により、胎児期に
化学物質をたくさんあびた子どもの脳の変化がよく診断できるようになった。脳の画像診断の結果、PCBとメチル水銀に出生前にばく露した子どもは、ばく露していない対照群(コントロール)の子どもでは活性化しない脳の領域が活性化することが明らかになった。
●毒性が証明されている化学物質は氷山の一
角にすぎない
10万種類もの化学物質が市場に出ているが、じつは大部分の化学物質について、きちんとした毒性データがない。
そして、子どもの発達期の脳への影響についての証拠が明らかになり、規制措置が取られている物質は、わずか5種(メチル水銀、鉛、PCB、ヒ素、トルエン)にすぎず、それらは化学物質全体からみれば氷山の一角にすぎない。
しかも、それらの子どもへの影響でさえ過小評価されているのが現状である。
また、この5物質のうちの3つを含めた以下の10物質(群)は、発達途上の脳にダメージを与えることがすでにわかっている。
①鉛、②水銀、③PCBs、④有機リン系農薬、⑤有機塩素系農薬、⑥内分泌攪乱物質、⑦自動車排気ガス、⑧多環芳香族炭化水素、⑨臭素系難燃剤、⑩有機フッ素化合物(PFOS等)
これらの化学物質をあびると、大切な脳の活力が弱ってしまい、体全体に影響する。
たとえば、PCBのばく露が多いほど小児期の免疫力が低下する。
次世代をになう子どもの脳を守るために、私たちはこうした有害化学物質の使用を中止させなければならない。